2016年12月8日、東京株式市場は朝から買いが優勢で3日続伸。日経平均株価は1日に年初来高値(1万8513円12銭)を更新。終値は前日比268円78銭高の1万8765円47銭で取引を終えた。前日に史上最高値を更新した米国の株高を好感。その勢いをそのまま引き継いだ。
米国の株価上昇はなんと言っても「トランプ効果」だが、それをさらに勢いづけたのが、5兆7000億円ともいわれる米国への投資を明らかにした、ソフトバンクグループの孫正義社長とされる。積極的な海外投資に対して、日本への投資はどうなっているのだろう――。
米国に5兆7000億円、英国では3兆3000億円
米ニューヨーク株式市場は2016年12月7日、ダウ工業株30種平均の終値が前日比297ドル84セント高の1万9549ドル62セントと、3日連続で史上最高値を更新した。トランプ次期米大統領による景気刺激策や規制緩和策への期待感で、相場の先高観は根強い。
そうしたなか、動きが目立ったのが通信株。ソフトバンクグループが2013年に買収した米携帯会社のスプリントや、通信大手のAT&Tなどが上昇。ハードディスク駆動装置(HDD)のウエスタンデジタルなども大幅高で引けた。
8日の東京株式市場は、こうした流れを好感して取引がはじまった。日経平均株価は午前から活況で、終値は前日比268円78銭高の1万8765円47銭。東証株価指数(TOPIX)は22.07ポイント高の1512.69と、ともに3日続伸した。銘柄の71%が値上がり。出来高は28億1860万株だった。
ソニーやトヨタ、富士通、コマツなどが大幅に上昇した。なかでも、ソフトバンクグループは、孫正義社長が米国で5兆円超を投資することを明かした7日午後から買い気配が強まり、7日の終値は前日比431円高の7387円。8日の終値は405円高の7792円だった。一時、583円高の7970円まで上昇。前日に付けた年初来高値をあっさり更新した。
12月6日午後(日本時間7日未明)、ソフトバンクの孫社長は、トランプ次期米大統領とNYの「トランプタワー」で会談。そこで、「Masa(孫社長)は総額500億ドル(約5兆7000億円)を米国に投資し、5万人の新規雇用に合意した」という。トランプ氏が自身のツイッターで発信した。
「米国ファースト」を打ち出す「トランプ政策」で米国経済が成長。孫社長も、「事業機会も拡大する」と期待感を示した。米国での情報技術(IT)分野を中心にした新興企業への投資が進むことや、オバマ政権時代に米連邦通信委員会(FCC)が却下したソフトバンク傘下の米スプリントとTモバイルUSの合併観測が再度浮上したことなどが「買い」を誘ったとみられる。
米NY市場も東京市場も、株価の上昇は「ソフトバンク銘柄」がけん引したといってもいいかもしれない。