安倍首相は、2016年12月26、27日にハワイ真珠湾を訪問する。今年5月、オバマ大統領が伊勢志摩サミットの際に広島平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花したことは記憶に新しい。そのときから、安倍首相の真珠湾訪問は時間の問題であったとはいえ、今年中に実現するとは、安倍首相の外交勝利と、日米から評価する声がでている。
「年明け『真珠湾解散』説 安倍首相がにらむハワイ訪問の先」(J-CASTニュース、12月6日配信)という話もでているが、衆院解散という観点からいえば、もういつあっても不思議ではない。
どのような争点であっても解散になり得る状況
解散・総選挙は、与党が相対的に有利になるような状況で行われる。蓮舫民進党は、期待された蓮舫人気が出ずに、逆に二重国籍問題で悪いイメージが強くなってしまった。
国会での党首討論をみても、TPPやカジノ法案でも民進党は攻めあぐねている。安倍内閣の支持率も高いので、今の蓮舫体制のうちに、安倍首相は解散を打ちたいに決まっている。今、臨時国会の中でも、虎視眈々と狙っているはずだ。この意味で、どのような争点であっても解散になり得る状況だ。
そうした下世話なことを抜きにして、今回の安倍首相の真珠湾訪問の歴史的な意義を考えてみよう。その意味を考えるためには、どうしても「ドレスデンの和解」に言及せざるを得ない。
筆者には忘れられない思い出がある。筆者が官邸参事官として安倍第1次政権で働いていたとき、2007年7月の参院選の前の党首討論において、当時の民主党小沢一郎代表は、アメリカなどによる(ドイツ)ドレスデン大空襲について「アメリカは謝罪している」と発言した。ドレスデン和解は、戦争責任も謝罪もなく、敵と味方がともに犠牲者を追悼するという欧州型戦後処理の典型例であったということを筆者も知っていたが、当時の安倍首相も「謝罪している」は、事実でないと言っていた。