つるの剛士と鈴木おさむは「イクメン」嫌い 「その言葉に苦しむ男性もいる」

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   「男性が育児するのが当たり前になり、イクメンという言葉がなくなる世の中になってほしい」。タレント・つるの剛士さんが、子育てイベントでこう訴えた。同席した作家の鈴木おさむさんは、「イクメンという言葉で苦しむ男性もいます」と後に続いた。

   「イクメン」という言葉が世の中に広まるにつれ、プレッシャーを感じる父親もいるようだ。近頃では「イクメンブルー」という現象まで起きている。

  • 子育てについて話したつるの剛士さん(左)と鈴木おさむさん
    子育てについて話したつるの剛士さん(左)と鈴木おさむさん
  • 子育てについて話したつるの剛士さん(左)と鈴木おさむさん

家庭と職場の板挟みになり「イクメンブルー」に

   つるのさんと鈴木さんは2016年12月1日、「第9回 ペアレンティングアワード授賞式」に出席し、その年の育児業界に影響を与えた人物として表彰された。そこで、男性の育児参加が話題にのぼった。5人の子どもを持ち、育児休業を経験したつるのさんだが、

「僕はイクメンという言葉がなくなって、男性が育児するのが当たり前になってほしい。ご近所さんには『つるのパパがイクメンとか言われるからさ、ウチもやりにくいんだよ!』なんて言われますが」

と笑って話した。鈴木さんも15年6月に第1子が生まれてから、子育てと、「父親になるための勉強」期間として1年間休暇を取った。その中で、

「『イクメン』と呼ばれて苦しむ男性もいるんですよね」

と知ったという。

   鈴木さんはイベント終了後に更新した12月1日付のブログで、つるのさんのイベントでの発言について「育児に父親が参加し、奥さんをフォローし、それがイクメンと言葉で持ち上げられるのではなく、普通になる・・そんな世の中になったらいいなという思いだと思うんです」と推し量った。

   「イクメン」は育児を積極的に行う男性を指して2010年ごろから登場し、同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10入りすると一層認知された。厚生労働省は、男性の育児参加、育休取得の促進をねらった「イクメンプロジェクト」を2010年から開始している。

   一方で鈴木さんが述べたように、言葉が広まるにつれて、世の中の風潮として「イクメンにならなければならない」とプレッシャーを感じ、苦しむ男性もいるようだ。2016年11月30日放送「おはよう日本」(NHK)では、仕事と家庭の両立に悩み、メンタル面で不調をきたす父親を「イクメンブルー」として特集した。ある男性は、育児に関わりたいと思いながら、「奥さんにやってもらえ」と職場の理解を得られなかった。妻もフルタイムで働いているため余裕がなく、「もっと育児を担ってほしい」と求められ、男性は家庭と職場の板挟みになって次第に追い詰められていったという。

「あの会社の人は育休を取ったのに...」

   特定社会保険労務士の菊地加奈子氏は、人事コンサルティング会社ワーク・イノベーション(本社・横浜市)のウェブサイトに、「『イクメン』の境界線に苦しむパパたち」のタイトルで働く父親たちの苦悩を次のように伝えている。

「家事育児時間の国際比較で日本の男はダメだと言われ、国内ではイクメンがもてはやされ、家庭では『あの会社の○○社長は育休を取ったって。社長が育休を取れて育児もやっているのになんでアナタは何もできないの?』と責められる。なんとも苦しいパパが増えています」

   ウェブサイト「R25」では6月22日、「パパの10人に1人が『イクメンブルー』!?」として、未就学児を持つ20~30代男性会社員200人に聞いたウェブアンケート結果を紹介した。それによると、「家事や育児への義務感やプレッシャーから、憂鬱になったことがある」と答えたのは9.5%だった。

   こうした「イクメンブルー」にならないためには、どうすればいいのか。育休を取ってじっくり家族と向き合う方法もあるが、なかなか難しいという男性も多いだろう。前出の「おはよう日本」では、近所の父親、つまり「パパ友」のつながりで、心に余裕が持てるようになったという男性を紹介した。妻と衝突しても、パパ友に相談すると「自分だけじゃない」と思えるようになり、冷静に妻と話し合って家事や育児を分担できるようになったという。

 

   近所にパパ友がいなくても、父親向けに悩み相談を受けたり、育児についての講義をしたりする団体もある。NPO法人・ファザーリングジャパンでは、社会保険労務士や教育コンサルタント、保育士や教育の専門家を全国に派遣し、育児の時間を作るにはどうすればよいかなどをアドバイスする講座を開いている。

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