「清武の乱」、延長戦でも読売勝訴 関連本「出版差し止め」損害賠償認めず

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   プロ野球・巨人の元球団代表、清武英利氏(66)が執筆に携わった書籍の復刊本の出版差し止めをめぐり、出版社「七つ森書館」が読売新聞東京本社などに計2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(原克也裁判長)は2016年12月5日、原告側の請求を棄却した。

   七つ森書館の中里英章代表取締役社長は判決終了後に開いた記者会見で、今回の判決について「極めておかしい」とコメント。判決を不服として、控訴する意向を示した。一方で、読売側は「請求が棄却されたのは、当然の結果」としている。

  • 読売側との契約書を紹介する中里英章社長(左)
    読売側との契約書を紹介する中里英章社長(左)
  • 読売側との契約書を紹介する中里英章社長(左)

清武氏「出版社の善意が裏切られた」

   問題となった書籍は、清武氏が読売新聞の記者時代に取材・執筆に関わった「会長はなぜ自殺したか―金融腐敗=呪縛の検証』(新潮社、1998年刊)。読売新聞社会部の著者名で、1990年代後半の金融不祥事についての取材結果をまとめた一冊だ。

   七つ森書館側が作成した資料によれば、同社は2010年12月に読売側と出版契約を結び、同書の復刊本の出版準備を進めていた。だが、清武氏が11年11月の記者会見で渡辺恒雄球団会長(当時)を厳しく批判したいわゆる「清武の乱」の後、読売側が出版契約解除を申し入れたという。

   この要求を七つ森側が断ったことで、読売側は12年5月に出版差し止めを求める仮処分を申請。その後、読売側は12年10月に出版差し止めと損害賠償を七つ森側に求める訴訟を起こした。この訴訟については、最高裁(山崎敏充裁判長)が16年6月7日付で原告側の上告を棄却し、七つ森側に出版差し止めと賠償金約203万円の支払いを命じていた。

   七つ森側が読売側に損害賠償を求めた今回の訴訟は、こうした裁判所の判断を受けたもの。七つ森側は、上述の読売側の出版差し止め訴訟について、

「地裁判決および高裁判決は、あまりに読売本社の主張に追随している」

と指摘していた。

   今回の判決後の原告側の記者会見では、請求棄却という判決を受けて、清武氏による、

「良質のノンフィクションを残したいという出版社の善意が、こうも裏切られたことに驚いています」

といったコメントが紹介された。

   読売新聞グループ本社広報部は、今回の判決について、

「著作権者である読売新聞東京本社の意向に反する違法な出版を強行した七つ森書館の請求が棄却されたのは、当然の結果と考えます」

とコメントしている。

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