自民党が議員立法で今国会での成立を目指す「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)は2016年12月2日の衆院内閣委員会で自民・日本維新の会の賛成多数で可決された。自民党は12月6日にも衆院本会議で通過させたい考えだ。
委員会での審議時間は6時間強。余りにも短い審議時間に、ほとんどの新聞が社説で「あまりにも乱暴」などと批判するほどだ。しかも、その「6時間強」の内容は、更にお寒いもので、複数の賛成派議員が時間を余らせ、般若心経の解説をしたり、勝手に野党の質問に答弁したりという有様だった。
「このIR法案には負の部分もある」
委員会の審議は11月30日と12月2日の2日間にかけて行われ、与野党合わせて11人が質問した。国会の審議の模様を録画した動画を見ると、驚くべきことに、最初に時間を余らせたのは、IR法案について「トップバッター」を務めた自民党の谷川弥一衆院議員(長崎3区)。最初はカジノを合法化することの影響やキャンブル依存症などの対策について質問していたが、約38分の持ち時間のうち30分ほどが経過すると、
「一応質問が終わったんですが、余りにも時間が余ってるんで、地元のことを1点。これは答えにくかったら答えなくて結構です。で、最後に私見を述べて終わります」
として、水産業の衰退で長崎県の人口が減少していることを
「私は口をすっぱくして観光をやれと言っているが、なかなか思うとおりやってくれない。これを言うと個人攻撃になるので中身は言わない。非常に私は経営感覚は人並み以上に優れていると思っているので、これをやれ、これをやれる、と言うが、ひとつも実行してくれない。そういう中でこのIRはすごいなぁ、って思っている。独り言ですが」
などと愚痴り、議場からは失笑が漏れた。
これに加えて、「私見」として、苦しいことを避けようとする本能にあらがうために重要な事柄を5つ挙げ、そのひとつが「宗教」だと説明。般若心経の一節を「般若波羅蜜多...」などと唱えながら、その意味を解説。無我の境地に達した状況を指す「無念無想」に言及しつつ
「こんなことを徹底してやっていかないと解決できない部分が出てきますよ、このIR法案には、やってほしい、でも負の部分もあるよ、ということをよくよくお考えいただいて、もう一回宗教については見直せないのか」
などと説いた。