原爆ドームの世界遺産登録から20周年を記念し、広島市は「平和の光・イルミネーション」と銘打って、ドーム周辺のライトアップを行う。木々にLED電球を取り付け、青白く幻想的な光でドームを浮かび上がらせる。
しかし、ネットでは「観光地にして欲しくない」との批判も起こる。同市は過去に、「慰霊・鎮魂のための聖域としての静けさや雰囲気を失わせる」として、「ポケモンGO」の重要ポイント「ポケストップ」を平和記念公園から削除するよう開発元に依頼している。ポケモンGOは認められず、イルミネーションが認められる理由とは何か。
世界遺産として登録された日12月7日に点灯
広島市の観光政策部によると、「平和の光・イルミネーション」は原爆ドーム周辺の木々にLED電球をつけて、夜光らせるイベント。期間は16年12月7日から17年2月5日までを予定している。
スタート日の12月7日は、原爆ドームが世界遺産として登録された日だ。登録から20周年を迎えるにあたり、「ドームの価値を世界に発信していく」意味でイベントを企画したという。
ただ、観光政策部の担当者は「商業的なイルミネーションとは目的も内容も異なります」と強調する。
「慰霊・鎮魂の場にふさわしいものでなければなりませんので、青色を基調にした優しい光です。一般的なイルミネーションに比べると『地味』です」
慰霊・鎮魂のシンボルである原爆ドームの価値を、もっと多くの人に知ってもらいたい。そんな願いを込めたのだという。
しかし、イベントがマスコミ報道で紹介されると、ツイッターで
「不謹慎だろ」
「ちょっと違うと思う」
「此処だけは観光地にして欲しくない」
といった批判が寄せられた。朝日新聞電子版の12月4日付け記事は、イベントについて「慰霊の地を観光地化すること」とし、被爆者団体の「疑問の声」を伝えている。
観光政策部の担当者は、「現時点で、被爆者団体からの直接の申し入れはありません」と明かし、
「被爆者団体のもとへ説明に行き、意見をお聞きしました。会場で実際にイルミネーションを見て頂き、アドバイスを受けたこともあります。そうした意見は反映させています。もちろん異論のある方もいらっしゃるとは思いますが、趣旨を説明してご理解頂くほかないと思っています」
と話した。