プロ野球・巨人の元打撃コーチで、王貞治氏(76)の「一本足打法」を指導した荒川博氏が2016年12月4日午後、心不全のため東京都内の病院で死去した。86歳だった。各メディアが報じた。
王氏の一本足打法の「生みの親」として球史に名前を残した荒川氏の訃報に、ネット上には「世界の王さんの育ての親、お疲れ様でした」との追悼の声が相次いで寄せられている。
「野球の歴史の1ページの担い手が静かに去った」
早稲田実業、早大を経て1953年に毎日オリオンズ(現・千葉ロッテ)に入団。巧打の外野手として9年間プレーし、通算503安打、打率2割5分1厘、ホームラン16本の成績を残した。現役引退後、1961年オフには故・川上哲治監督(当時)が率いる巨人の打撃コーチに就任した。
「荒川道場」と呼ばれる厳しい指導で巨人の若手を鍛え上げ、65年から始まる「V9」に貢献。特に、プロ野球入団後に伸び悩んでいた王氏の才能を、二人三脚の指導で磨き上げたことで知られる。
片足を大きく上げてタイミングをとる王氏の「一本足打法」も、荒川氏が指導して身に付けさせたもの。この独特なフォームの指導をめぐっては、集中力を研ぎ澄ませるために行った日本刀での素振りや、室内練習で遠征先の畳が擦り切れた――など数多くの逸話が残っている。
荒川氏の指導を受けた王氏は、62・63年と2年連続で本塁打王を獲得。翌64年には、当時のプロ野球記録となるシーズン55本塁打を達成。73、74年には三冠王のタイトルも手にした。
通算868本塁打を放った「世界の王」を育てた荒川氏の訃報を受け、ツイッターやネット掲示板には、
「世界の王さんの育ての親、お疲れ様でした。ありがとうございました」
「荒川さんいなかったら『一本足打法』どころか『世界の王』も存在してたか分からない」
「野球の歴史の1ページの担い手が静かに去った夜。そして野球は続く」
と惜しむ声が相次いで寄せられている。