台湾の鴻海精密工業の傘下で経営再建中のシャープが、成果をあげた若手管理職を中心に社長特別賞与を支給する。戴正呉社長が2016年11月末、社員に向けて配信したメッセージで明らかにした。
就任3か月となった戴社長は「有言実行から『有言実現』へ。総力を挙げて目標を成し遂げよう」というメッセージを出し、経営再建に向けた改革を今後も加速することを強調した。その上で社員に対して「3か月間の頑張りに感謝を示したい」として、社長特別賞与を支給することを明言した。
「信賞必罰」の人事制度
社長特別賞与は金額などの詳細は公表されていないが、2015年と同じ給与1か月分を冬のボーナスに上乗せするという。戴社長は「信賞必罰」の人事制度を掲げており、支給額は社員が出した成果や年齢に応じて決められるとみられる。
2016年3月期連結決算で2年連続の大幅赤字に陥ったシャープでは、2015年以降の夏と冬のボーナスは前年から半減となる計2か月分が支給されているだけ。大規模なリストラを実施するなど経営再建の途上にある企業が一部社員を対象にしているとはいえ、ボーナスに上乗せ分を支給するのは異例だが、「赤字脱却に向けて社員の士気を高める」(関係者)狙いがある。
一方、2017年1月末まで社員やOBらを対象に、シャープ製品を安く提供する特別販売も実施する。
2015年は購入目標額を設定し、社員らに自社製品の購入を呼びかけるシャープ製品愛用運動を行った。しかし、一部報道で設定した購入目標額を「ノルマ」と表現されたり、社員から不満が出たりして騒ぎになったため、今年は「販売目標は一切ない」と強調した上で、純粋に社員への感謝を示すための販売だと説明している。
シャープが社長特別賞与を支給するというニュースを受け、ネット上では「今までそういう競争がなかったのが不思議」「年齢に関係なく、成果を出した社員に賞与を多く出すべきでは」「信賞必罰って、信賞は分かったが必罰は?」「本当に評価するなら昇進とベースアップで応えるべき」「成果が出たかどうかは運もあるから、社内でも不満が高まるのでは」などといった厳しいコメントが並んでいる。