「無痛分娩」日本で人気ない理由 釈由美子や小倉優子も選んだが

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「お腹を痛めて産んでこそ母親」の根性論が根強い

   J-CASTヘルスケアは、米国在住の30代日本人女性に無痛分娩の体験を聞いた。選択に特に迷いはなく、マイナスなイメージもなかったという。薬が入った後も痛みがゼロになるわけではないが、むしろ陣痛が来ているのが分かるので「いきむべき時にいきめました」。その後、悪寒のような「体がガクガクした」感覚があったが、体調が大きく崩れたわけではなく、出産も無事に終えられた。また「無痛を拒否した知り合いは、途中で無痛に切り替えたそうです」とも教えてくれた。

   日本産科麻酔学会のウェブサイトによると、米国で2008年に無痛分娩(硬膜外鎮痛や脊髄くも膜下鎮痛)を選んだ割合は、経腟分娩をした女性の61%。またフランスは、2010年の調査で約80%に上った。ところが日本では、2007年の硬膜外無痛分娩率は全分娩の2.6%と、突出して低い。

   考えられる理由として、産婦人科医の宋美玄さんは「ヨミドクター」2012年8月29日付のコラムで、「『お腹を痛めて産んでこそ母性が芽生える』という根拠のない根性論者に遠慮して麻酔分娩を選択しない人は日本中にいるのではないかと思います」と指摘した。宋さん自身はあえて自然分娩を選んだが、「安産でも出産は激烈に痛く、出産後すぐは娘を抱っこするのも辛かったので、あの痛みに意味があるとは思えません」としている。

   加えて宋さんが、無痛分娩普及の妨げとして挙げたのが「医療資源の不足」だ。日本国内でできるのは余裕がある施設に限られ、そもそも麻酔医がいない分娩施設が多いという。

   釈由美子さんも先述のブログのなかで、「『無痛分娩』と言うと どうしても肩身が狭く後ろめたい気持ちになります 『お腹を痛めて産んでこそ、母親!』という信念が日本には根強いので まだまだ無痛の需要も、産院も少ないのが現状です」と説明していた。一方で「『お腹を痛めて生まないと子どもへの愛情不足になるんじゃないか?』と母にも心配されましたが こればっかりは比較できませんが充分、息子への愛は漏れそうなほど溢れているのでご心配なく」と書いている。

   もちろん、無痛分娩が全くリスクを伴わないとは言い切れない。日本産科麻酔学会もサイトの中で、痛み止めの効果が得られるとともによく起こる副作用、まれに起こる不具合を説明している。それでも、無痛分娩を選んだ釈さんは、ブログでこう主張している。

「賛否両論あるかと思いますが 分娩スタイルも多様化してきた中で選択肢があることはいいことだと思います」
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