家庭では毎回同じとろみを付けるのが難しい
嚥下障害になると一般的に、飲料や液状の食品にはとろみをつけて飲み込みやすくする。病院や介護施設では嚥下調整食が提供されるが、家庭では粉末状の「とろみ調整食品」を混ぜてとろみ付けする。ところが、中島氏によると「みそ汁の場合、使うみその量が毎回微妙に異なるため、いつも同じとろみを付けるのが難しく、勘や経験で作られる場合が多い」。とろみ調整食品を使う場合も、「入れてからしばらく放置しないと全体にとろみが付かない」ため、時間がかかってしまう。
そこで、ネスレヘルスサイエンスの技術を活用し、誰が作っても簡単に一定のとろみになる即席みそ汁の開発を企画した。商品は、おいしくなければ食べてもらえないという考えから味の良さも追求し、みそメーカーの代表格であるマルコメに協力を求めた。マルコメのマーケティング本部長・小川浩司氏は、開発の話を聞いた時「みそ汁を飲みたくても飲めなかった方々の役に立てるなら」と快諾したと明かす。
新商品は2016年11月30日の「いいみその日」に、まず病院や介護施設向けに発売された。17年3月から全国のスーパーでも販売される予定だ。