あらゆる小説のパターンは6つだけ ビッグデータでわかった物語の醍醐味

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   私たちは多くの小説を読んでは泣いたり、笑ったり、ワクワクしたり、考えさせられたり......。1つ1つの物語に自分の人生を照らし合わせ、小説世界の広がりが無限にあるように感じるが、実は、あらゆる小説の基本的なパターンはわずか6つしかないという。

   そんな研究を米バーモント大学の言語学と情報学のチームがまとめ、コンピューター情報専門誌「EPJデータサイエンス」(電子版)の2016年11月4日号に発表した。

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物語には「感情ライン」のカーブがある

   論文によると、研究チームは、『猫のゆりかご』『スローターハウス5』などの代表作でおなじみの米国の現代作家カート・ヴォネガット(1922~2007年)の仕事に触発され、今回の研究を始めた。ヴォネガットは大学の修士論文で「あらゆる小説は、物語の感情的なラインに類似性がある」と主張した。

   たとえば、男と女が出会って恋におち、別れる物語があるとする。最初は何事もなく物語が進むと、「物語の感情ライン」は平たんな横線を描く。しかし、出会いの場面から盛り上がり、「物語の感情ライン」は上昇カーブに転じる。恋の高まりがピークに達した後、冷めてくるとカーブは下降線となり、最後の別れで平坦な横線に戻る。つまり、物語は「山型」のカーブを描くわけだ。このように、あらゆる小説の「物語の感情ライン」のカーブを分析すれば、パターン化できるというのがヴォネガットの理論だった。

   そこで、研究チームは、名作をインターネット上で公開する文学デジタル化の草分け「グーテンベルク・プロジェクト」の小説約5万冊の中から、英語で書かれた小説1327冊を対象に選んだ。この中には、『ハリーポッターと死の秘宝』『ドリアン・グレイの肖像』『ギリシャ神話』『グリム童話集』『シェイクスピア全集』など古典から現代のベストセラーまで含まれている。

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