安倍首相を悩ませた潰瘍性大腸炎 他人の便を移植する驚きの治療

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昭恵夫人も「政治家なんてやめて」と泣いた闘病生活

   ところで、安倍首相はどんな治療法を続けているのだろうか。第1次安倍内閣の2007年9月12日、安倍首相は衆議院本会議の代表質問の直前に突然「退陣会見」を行ない、翌日、慶応義塾大学病院に緊急入院した。のちに自ら「潰瘍性大腸炎で体調を崩していた」ことを明らかにした。その後はみるみる体調を回復して首相の座に返り咲いた。

   2016年1月25日付読売新聞によると、世耕弘成官房副長官が長野市内の講演で、「首相の潰瘍性大腸炎は完全に治ったわけではない。薬でうまく抑えている。首相は大変元気だ」と語ったと報道している。側近が首相の健康問題に言及するのは極めて異例だ。

   実は、安倍首相自身も持病についてかなり赤裸々に語っている。日本消化器学会の会報「消化器のひろば」(2012年秋号)の誌面で、主治医の日比紀文・慶応義塾大学教授と「潰瘍性大腸炎を克服する」という題で対談している。主治医が相手ということもあって、率直に闘病生活を告白している。それによると、首相の潰瘍性大腸炎は10代の頃からだ(要約抜粋)。

安倍「中学3年の時、腹痛の後に下痢と血便が続き、便器が真っ赤に染まってびっくりしました。高校生になっても年に1回同じ症状になりました。神戸製鋼所に入社してから症状が悪化して、会社の病院で診療を受け潰瘍性大腸炎とわかりました」

その後、政界に入っても症状は悪化する一方だった。

安倍「選挙のたびに症状が出るのです。選挙カーの中で脂汗をかきながら便意を我慢しました。点滴だけの生活が続き、体重が65キロから53キロに減り、政治家の進退を賭け、3か月入院したこともあります。妻の昭恵は涙ながらに『政治家なんか辞めて』と訴えるし、身近な人から病気を公表して引退を勧められました」

そんな首相にとって、現在、劇的に症状を抑えている薬というのが――。

安倍「アサコール(サラゾピリンなどと同じ5-ASA製剤の1つ)という薬が画期的に効いて寛解状態が続き、精神状態も本当に楽です。この40年間で初めて『何もない』状態です」

   第1次内閣で首相として海外を訪問した時は、おかゆと点滴で栄養補給しながら回る有様だったという。現在も対談の中で「寛解維持」の状態であることは認めている。首相にとっても、順天堂大の研究成果は朗報だろう。

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