安倍首相を悩ませた潰瘍性大腸炎 他人の便を移植する驚きの治療

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健康な人の腸内細菌を便と一緒に体内に

   研究チームは、2014年7月から2016年3月にかけて、潰瘍性大腸炎の患者41人を次の2つのグループに分けて臨床試験を行なった。

(1)3種類の抗生剤だけを投与する20人。
(2)3種類の抗生剤を投与した後、健康な人の大便を移植する「抗生剤便移植併用法」の21人。

   「抗生剤便移植併用法」をさらに詳しく説明すると、こんな方法だ。

(1)患者の乱れた腸内細菌の状態をリセットするために、3種類の抗生剤をカプセルや錠剤で飲む。
(2)腸内細菌の量が極限までに減り、腸内がクリアになる。
(3)健康な人(ドナー)の大便200グラムを、生理食塩水で処理し、約400ミリリットルの溶液にする。この溶液を大腸内視鏡を使って患者の肛門から盲腸付近へ注入移植する。

以上の治療を行ない、4週間後に「抗生剤単独法」グループと、「抗生剤便移植併用法」グループの腸内細菌の状態を比較した。その結果、腸内細菌の状態が健康な人と同じ状態に回復したのが、「抗生剤単独法」では全体の68.3%、「抗生剤便移植併用法」では83.4%にのぼった。この結果について研究チームは、発表資料の中でこうコメントしている。

「潰瘍性大腸炎の治療効果は長期間の観察が必要ですが、今回、抗生剤と便移植法を併用すると、有効な治療法になりうる可能性を示すことができました。潰瘍性大腸炎は若い患者が多く、従来の治療法では、強い副作用がある免疫抑制剤やステロイドなどが長期使用されるケースが多いため、副作用の少ない根本治療が望まれます。私たちは安全性が高く効果的な腸内細菌治療法の確立を目指していきます」
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