日本音楽制作連盟「金銭的に余裕がある人しかライブを楽しめない」
じつは、「チケットの転売行為」について、経済行為としては「問題がない」としている識者がいないわけではない。経済学者で、嘉悦大学の髙橋洋一教授もその一人。「倫理的な問題などを除けば、転売は経済的には非難されることはない」という。2016年8月29日付の現代ビジネス「ニュースの深層」で主張していた。
「橋下×羽鳥の番組」では、橋下氏も「違法行為」(各都道府県の迷惑防止条例違法違反)については、「(法律は)転売を違反行為だといっているのではなく、あれは迷惑行為を罰しているもの」とし、そのため転売行為が「社会的な批判にはあたらない」としている。
また、アーティスト側がチケットを発行して広く販売しているのだから、転売されても仕方がない状況になっているとも話し、むしろチケットの販売方法や価格などを問題視しているようだ。
2016年8月、多くのアーティストが賛同した「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」の意見広告を目にした人は多い。J‐CASTニュースは11月30日、その共同声明を発表した音楽団体の一つ、日本音楽制作連盟に、橋下氏の主張についてどのように考えているのか、聞いた。
すると、
「たしかに、多くの識者の方がご指摘のとおり、一つひとつのライブという単位でみれば、需要と供給により、価格が決定されるべきであるということは経済学的には正しいのかもしれませんし、単純な転売行為だけをみれば、それを規制する法律がないというのも理解しております。
しかし、音楽ビジネスは単にそのライブだけで完結するものではありません。子どもから大人まで、男女を問わず、多くの方にライブに足を運んでいただく機会をつくり、応援していただける方を増やしていくことで、新たな音楽を生み出すための再投資をしていかなければなりません。
単に、『資本主義の大原則』にしたがってライブのチケットを販売し続ければ、多くの人気アーティストのライブは、金銭的に余裕がある一部の人しか楽しむことができないこととなってしまいます。それにより、金銭的に余裕がない若者などは音楽から離れていき、ひいては音楽文化の衰退にも繋がりかねません。
私たちが『資本主義の大原則』に従って、ライブのチケットを販売することは簡単で、目先の利益を考えればそれにより一時的に利益を最大化することができるかもしれません。しかし、そのような行為が音楽文化の衰退に繋がることは明白であると考えておりますので、継続して高額転売の禁止を訴えているという次第です」
とのコメントを寄せた。