使用制限を知らずに使っているケースが多い
日赤広報室の担当者は「規定に反してマークが使用されていた場合、まずはルールの周知をしつつ、使用中止を求めます」とJ-CASTヘルスケアの取材に答えた。いきなり法的措置を取らないのは、「マークに使用制限があると知らずに使っているケースが多いため」だという。使用者が規定を理解し、使用をやめれば基本的に措置は取らないが、呼びかけても改善がなかったり、一度改善されても再び使用されたりしたら、何らかの措置を取る可能性があるという。
例外的に、あらかじめマーク使用の申請を受けて日赤が許可を出す場合もあるが、日赤担当者によると、国民体育大会や高校総体の応急救護所といった場合に限定されているという。
マークの使用が厳しく制限されている理由について、パンフレットには「『赤十字マーク』が日頃から不適切に使用され世の中に氾濫すると、赤十字マークに対する理解が誤ることになり、戦争や紛争時に救護活動を行う軍の衛生部隊や赤十字国際委員会の活動等を適切に保護することができなくなってしまいます」と説明がある。
担当者によると、赤十字病院は有事の際に動く救護団体としての役割を持つ。紛争や災害でライフラインが途絶え、一般の病院の機能がストップしても、赤十字病院のスタッフが臨時で現地に救護所を設置して傷病者に対応する。最近ではシリアの内戦や、国内では熊本地震で、赤十字社のスタッフが駆けつけた。
世の中で自由に赤十字マークが使われていると、こうした状況になった時に「どこが赤十字社で、傷病者を受け入れてくれるのか、紛争時はどこを絶対に保護しなければいけないのかが分からなくなり、混乱を招くおそれがあります」と担当者は説明する。