両目でゲーム画面を見るのでバランス良く改善
そして、実験前と後に28人の子どもの視力や立体視能力など目の機能を検査した。視力は、0.1~1.0などの通常の裸眼視力数値ではなく、より厳密に測定する「対数視力」の数値を使った。
その結果、アドベンチャーゲームをした子どもは、対数視力が平均で0.15向上した。一方、アイパッチをした子どもは対数視力が0.07向上した。改善した割合は、アドベンチャーゲームの方が約2倍高かったことになる。立体視の機能もアドベンチャーゲームの方が向上した割合が高かった。
2週間の実験終了後、アイパッチをした子ども14人にもアドベンチャーゲーム療法を2週間続けさせると、最初にゲームを行なった14人と同レベルにまで視力が改善した。アドベンチャーゲームの効果が再確認されたわけだ。
この結果について、研究チームのクリスタ・ケリー医師はこう語っている。
「アイパッチ療法は長い間、小児弱視の標準的な治療法でしたが、常に両方の目の視力が均等に改善するとは限りません。両目でiPadの画面を見ながらゲームを行なうと、コントラストが高い画像を弱視眼がとらえ、コントラストが低い画像を健眼がとらえ、平均的なグレーゾーンの画像を両目でとらえます。このため、バランスよく視力の改善が図られているとみられます。iPadのアドベンチャーゲームは、弱視治療の有力な選択肢の1つになるでしょう」