早期発見が難しく死亡率が非常に高い、恐ろしいがんの1つである胆管がんの予防に野菜や果物をたくさん食べると効果があがると2016年11月28日、国立がん研究センターが発表した。
予防効果は、野菜や果物をほとんど食べない人に比べ、約2倍に達する。研究成果を国際がん専門誌「International Journal of Cancer」(電子版)の2016年10月31日に発表した。
野菜を食べない人に比べ発症リスクが半分以下に
胆管とは肝臓で作られた胆汁を流す管で、そこにできたがんを胆管がんと呼ぶ。自覚できる初期症状がないため早期発見が難しく、発見された時は手遅れの場合が多い。2015年に国立がん研究センターが発表した「主要ながんの5年生存率」によると、胆管がんは22.5%だ。2015年に女優の川島なお美さん(享年54)、柔道家の斉藤仁さん(同55)、2016年にはラグビー指導者の平尾誠二さん(同53)らが若くして亡くなった。
国立がん研究センターの発表資料によると、研究チームは、岩手県から沖縄県まで全国10保健所管内に住む45~74歳の約8万人の男女を17年間追跡し、胆管がんの発症リスクと食生活の関連を調べた。調査期間中に260人が胆管がんになった。研究開始当時の食生活の調査票をもとに、野菜・果物の摂取量を多い順から4つのグループに分け、発症率を比較すると、食べる量が最も低いグループに比べ、最も多いグループの発症率は51%も低かった。
摂(と)っている栄養素でも比較すると、養酸(水溶性のビタミンB群)を最も多く摂っているグループは、最も少ないグループに比べ、発症リスクは52%低く、不溶性食物繊維では47%、ビタミンCでは37%低下した。葉酸、不溶性食物繊維、ビタミンCを多く摂るとよいことがわかる。養酸には壊れたDNAを修復する働きがあり、不溶性食物繊維はインスリンの調節を行ない、ビタミンCは強い抗酸化作用があることが、それぞれ胆管がんの予防につながっているという。
カボチャ、ブロッコリー、ホウレンソウ、キウイを
葉酸が多い食品はカボチャ、ブロッコリー、ホウレンソウ、モロヘイヤ、イチゴ、ミカン、バナナなど。不溶性食物繊維が多い食品は干し柿、豆腐、おから、ゴボウなど。ビタミンCが多い食品はピーマン、キャベツ、レモン、キウイ、アボカドなどだ。
研究チームでは、同時に胆のうがんの発症リスクと野菜・果物の摂取量との関連も調べたが、たくさん食べても特にリスクの低下はみられなかった。