サイズやオプションメニューの幅広さから、オーダーが「呪文」のように長くなることで有名なスターバックス。
利用者なら「オーダー前に完璧な『呪文』を用意できれば...」と一度は感じた経験があるだろう。今、そうしたニーズを満たすスマートフォンアプリ「スタバで呪文」(ダウンロード無料)がひそかに人気だ。3年前のリリースながら、今なお利用者の間で高く評価されている。一体、どう便利なのか。記者が実際に体験した。
「グランデキャラメルソースエクストラホイップホワイトモカ」
アプリの使い方は実に簡単。ダウンロード後にスマートフォンで開くと、温度(HOT~COLD)と味(BITTER~SWEET)のグラフが表示される。
グラフ上にあるカップのカーソルを自分の好きな温度、味の位置で合わせると、それに沿ったメニューが提案される。ここからサイズ(ショート~ベンティ)、トッピング(シロップ、ホイップクリーム、ソースなど)の有無を選択し、「呪文生成」のボタンを押す。オーダーしたい味のイメージがあれば、ここまで1分とかからない。あとは、生成された「呪文」をレジ前で「唱えれば」良いだけだ。
オーダー内容だけでなく、カロリーや価格もあわせて表示されるため、使い勝手が良い。スターバックスの利用者はツイッターに
「面白いアプリですね」
「これはマジ使えます」
といった感想を寄せている。
しかし、いくら便利とはいえ、「実戦」で使えるのか。記者が16年11月28日、東京都内のスターバックスで試した。冷たい風が吹く昼下がり、甘党の記者は温かく、甘い飲み物を求めていた。ただ、「呪文」を唱えるのは苦手で、普段スターバックスはあまり利用しない。一抹の不安を感じながら店を訪れた。
情報をたっぷり詰め込んだメニュー表が早速目に入り、不安感が増幅される。待ち時間で開いたアプリには、ホワイトモカを提案された。一度も頼んだことのないメニューだ。しかし、調子に乗ってサイズを大きくし、ホイップクリームやキャラメルソースといったオプションまで追加した。
「呪文」は最終的に、「グランデキャラメルソースエクストラホイップホワイトモカ」という長ったらしいものになった。
「メニュー全部飲んだ」開発チーム
いよいよオーダーの順番が回ってきた。店員に対し、「グランデキャラメルソースエクストラホイップホワイトモカ」と淀みなく「唱えた」。
店員は「呪文」を聞くやいなや、「甘めの仕上がりになりますよ」と念を押してきた。外国人と英語でコミュニケーションをしているような、不思議な感覚だ。
記者が「構いません」と告げると、すぐにオーダーが通った。その後、「常連」を装ってオーダーできた満足感に浸りつつ、甘めのホワイトモカを堪能した。
なお、アプリ開発チームの「koganepj」は、13年11月9日の公式ブログで、写真撮影のため30種類近くある定番メニューを手分けして全部飲んだ、という苦労話を明かしている。