男性ホルモン値が高いと犯罪者になりやすい
そして、犯罪者の顔の形が非犯罪者と違う特徴を持つ理由として、論文では、「犯罪者の多くは男性ホルモンのテストステロン値が高い」という、これまで多くの国で発表された研究成果をあげ、「ホルモンの影響で顔の形が変わってくる」と説明している。今回の結果について、研究チームは、アリストテレスの「外見の特徴から本質を推論することは可能である」という言葉を引用しながら次のようにコメントしている。
「外見から性格を推論することを、心理学者ではなく機械が行なって、なぜいけないのでしょうか? 今後の懸念事項は、『偽陽性』の問題です。つまり無実の人を有罪と認定すること。そして、『偽陰性』の問題もあります。有罪の人を無実と認定することです。AIを司法制度に導入するためには、偽陽性と偽陰性をできるだけ排除できるよう精度をあげなくてはなりません」
「偽陽性」や「偽陰性」は、エイズや乳がんの検査の時に、「陽性」か「陰性」かがはっきりしない場合、いったん「偽陽性」とか「偽陰性」と判定し、より精密な検査で調べ直すなど、医学の世界ではよく行なわれる。しかし、それを司法の世界で行なうのは人権上問題だ。研究チームは、犯罪捜査と医学検査を同様に考え、このAIの導入を本気で目指しているのだろうか。