インターネットで購入できる個人輸入の勃起不全(ED)治療薬の4割は偽造品であることが、2016年11月24日、国内でED治療薬を製造・販売する4社が発表した合同調査で分かった。
健康に有害な成分が含まれ、命にかかわるケースも報告されており、摘発が続く中、多くの偽造品がネット上で流通している実態が明らかになった。
有効成分がほとんどないものも
4社は、日本国内で「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」を製造・販売するファイザー、バイエル、日本新薬、日本イーライリリー。4社の発表資料によると、調査では日本人を対象とする日本とタイのインターネットサイトから、各ブランド1サンプルずつを購入、到着したED治療薬の真贋を鑑定した。対象サイトはすべて日本語で運営され、振込先も日本の口座だった。
分析の結果、受領した70サンプルのうち、28サンプル(40.0%)が偽造品であることが判明した。国別では、日本での発注・受領分で35.6%、タイでの発注・受領分で48.0%が偽造品だった。
4社は2008~2009年にも同様の調査を行ったが、その時の偽造品率は全体で55.4%と、今回調査より高かった。ただしその後、摘発態勢が強化されたため、医薬品の輸入差し止め件数が2008年から2015年にかけて倍増しており、偽造品の割合は減っても流通数としては増えている状況だ。
今回鑑定した偽造品の中には、有効成分が正規品の最大用量の150%に達するもの、有効成分がほとんどないもの、実在しない「100mg」が販売されているものなどがあった。また、正規品には含まれない成分が含まれるケースが多くみられた。中に血糖降下成分が含まれていたため、服用した男性が低血糖で倒れたり、意識混濁になって搬送されたりするケースなどが報告されている。