「ランナーが居ない!ランナーが居ない!」。最初のタスキリレーで実況のアナウンサーが叫んだ。
実業団の女子駅伝日本一を争う「クイーンズ駅伝」で事件は起きた。前回準優勝の強豪・豊田自動織機は第1中継所のタスキ渡しでミスが起き、失格となった。しかし、第2走者はしばらくそのまま走り、一時は区間トップで第3走者にタスキを渡した。このため、テレビ中継の映像だけでは判然とせず、ツイッター上では「なんでこれが失格!?よくわからない」という声であふれた。
2区の選手が慌てて横から飛び出す
「クイーンズ駅伝(第36回 全日本実業団対抗 女子駅伝競争大会)」は2016年11月27日、宮城県で行われた。42.195キロを6人のランナーがタスキでつなぎ、リオデジャネイロ五輪のマラソンや5000メートル、1万メートルに出場した選手も数多く出場した日本最高峰の大会だ。
優勝を狙う豊田自動織機は、第1区・福田有以(21)がトップと8秒差の3位で第1中継所に入るが、なぜか第2区・島田美穂(19)の姿はなかった。福田は左手にタスキを握ったまま、辺りを見回しながら中継線を超えてしばらく走る。すると、福田の左側から慌てたように島田が飛び出し、タスキを受け取って第2区を走り出した。島田は第3区・林田みさき(20)にトップでタスキをつなぐ。
しかし、第3区の3.6キロを過ぎた辺りで実況から報告が入る。
「豊田自動織機、第1中継所でタスキ渡しのミスがあり、失格です」
この時5位につけていた豊田自動織機だったが、順位を示すテレビ中継のテロップから名前が消され、その後ろを走る第一生命が5位と表示された。「豊田自動織機は失格のため、順位には換算されません」と実況からアナウンスされた。
3区・林田はタスキを両手で持ち、全体9番目で第3中継所へ入ったが、失格のためつなげられなかった。林田の表情は一瞬驚いていたようにも見えたが、あまり動揺することなくコース外へ歩いて出て行った。
問題の第1中継所のタスキリレーのシーンは、テレビ映像だけでは何がミスだったかが分かりづらく、当時のツイッターでは
「豊田自動織機チーム、なんでこれが失格!?よくわからない。駅伝ファンとしてはモヤモヤ。スッキリしないなあ」
「豊田自動織機が何で失格したのか分かってない」
「失格になった理由をタイムリーに報道しないと」
といった疑問が噴出。中には、「運営のミスか」と中継所で第2区のランナーへの連絡を怠ったのではないかといぶかる声もあった。