最近、若い世代を中心にスキンケアに関心を持つ男性が増えている。しかし、具体的どうやったらいいのか、なかなか周囲に聞きづらいのが現状だ。
その事情は米国も同様らしい。「男性の肌の手入れはもはやタブーではない。男性も正しい方法を知ることが重要だ」と、肌の専門医集団である米国皮膚科学会は2016年11月8日、機関誌「American Academy of Dermatology」(電子版)に「男性のスキンケア6つのコツ」を発表した。
自分の肌タイプを知り、ひげ剃り改革から始める
同学会が発表したプレスリリースによると、過去に女性のスキンケアのアドバイスは何度も行なってきたが、男性向けは初めて。学会の認定専門医アントニー・ロッシ医師は「家庭でどうやって肌をケアすればよいのか、悩んでいる男性が増えています。男性も正しい方法を知るべき時期が来ました。男性の肌は、女性の肌より厚いという違いはありますが、効果的なスキンケアの方法の基本はまったく同じです」と語る。
そして、女性の肌と同様に、まず自分の肌のタイプを知ることが重要だという。男性の肌のタイプにも、「普通肌」以外に次の4つがある。
(1)敏感肌:紫外線や気温の変化など刺激を受けると、すぐにかゆくなったり、湿疹ができたりする。
(2)乾燥肌:皮脂の分泌が少なく、カサカサと乾いて荒れている。
(3)脂性肌:皮脂の分泌が多く、ギトギトと脂っこく光っている。
(4)混合肌:皮脂が多い部分と乾燥する部分が分かれて混在している。
こうした自分の肌のタイプを理解したうえで、ロッシ医師は次のように6つの基本的なアドバイスを行なった。
(1)自分の肌のタイプに合わせ、スキンケア製品のラベルと成分に注意を払う。脂性肌でニキビが出やすい人は、「オイルフリー」または毛穴を詰まらせないクレンザー(洗顔料)とモイスチャライザー(保湿のクリーム・乳液)を探す。敏感肌・乾燥肌の人は、肌を刺激しない「香料未使用」のものを選ぶ。たとえ、ラベルに「無香料」と書かれていても、においを隠す香料が使われている場合があるので注意する。
(2)毎日、そして運動後には必ず洗顔する。石けんやシャンプーは肌を乾燥させすぎないようマイルドなものを使う。熱い湯ではなく、ぬるま湯で洗うことがポイントだ。
(3)ひげ剃りの方法を見直す。3枚以上の多数刃のひげ剃りは、肌への刺激が強すぎてカミソリ負けする人が多い。肌が傷ついたり荒れたりしやすい人は、1枚刃、または2枚刃を使うとよい。また、ひげを剃る際、皮膚を広げたり、引っ張ったりする人がよくいるが、肌は伸ばさないこと。ひげを剃る前にシェービングクリームを使い、肌とひげをよく濡らし柔らかくしておく。ひげ剃りは使用後に必ず水洗いし、5~7回使ったら刃を替える。
毎日の「保湿」と「日焼け止め」で若々しさを
(4)毎日よく保湿をすると、肌が明るく若々しくなる。入浴やシャワー、あるいはひげ剃り後で肌がまだ湿っている時に、モイスチャライザーを塗ると最高の肌になること請け合いだ。
(5)定期的に肌の状態をチェックしよう。ホクロやシミ、かゆみ、出血、肌の色の変化などは皮膚がんの初期症状である場合がある。疑わしい異常があれば、すぐに皮膚科医を受診しよう。50歳以上の男性は、致命的な皮膚がん「メラノーマ」を発症するリスクが高い。早期発見で助かる可能性が高くなる。
(6)屋外に出る時は、頭皮、耳、首、唇を含むすべての皮膚に日焼け止めクリームを塗る習慣をつける。日焼け止めクリームはSPF(紫外線防止効果)が30以上のものが望ましい。2時間ごとに塗り替えること。特に汗をかいたり、泳いだりした直後は必ず塗り直そう。また、UV(紫外線)カットの衣類やサングラス、つばの広い帽子でいつも肌を保護することを意識しよう。
最後に、ロッシ医師はこう呼びかけた。
「肌は個人ごとに異なるため、スキンケアの方法も個人ごとに変わってきます。自分の肌のタイプが分からない人は専門医を訪れてください」