組体操「規制」でけが激減 ピラミッド禁止の自治体も

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   小中学校の運動会で行われる組体操の「規制」や「安全対策」に乗り出した全国の自治体で、「成果」が続々と報告されている。

   全国に先駆けて「人間ピラミッド」など危険な技を禁止した大阪市では、規制前の2015年には53件あった組体操による骨折事故が、今年は12件まで激減。また、市内の全小中学校が組体操の実施を取り止めた千葉県流山市では、代替競技での事故件数がゼロになったという。

  • 事故件数が3分の1以下になった自治体も
    事故件数が3分の1以下になった自治体も
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静岡では3分の1以下に

   日本スポーツ振興センターの統計によれば、14年度の組体操での事故件数は8592件。そのうち、頭部や首など危険な部位にけがをした事故は2割強にも上る。また、過去46年間では組体操の事故で9人が死亡、92人の子供に障害が残ったという。

   最近では、15年9月に大阪府八尾市の市立中学校で、高さ10段にも及ぶ人間ピラミッドが崩壊し、6人が重軽傷を負う事故が起き、組体操の「危険性」に改めて注目が集まることになった。

   こうした状況を受け、16年度から組体操の「安全対策」に本腰を入れて取り組む自治体が目立ってきた。16年2月に全国で初めて危険な技を禁止した大阪市をはじめ、「人間ピラミッド」などの高さに制限を加えるといった対策を取る自治体が増えているのだ。

   そんな各自治体による対策の成果が、徐々にまとまり始めている。県の教育委員会が主導して安全対策を推し進めた静岡県では、今年度の組体操による事故件数は82件。15年度の256件と比べて、3分の1以下に減少した。

   安全対策を主導した静岡県教委健康体育科の担当者は11月24日のJ-CASTニュースの取材に対し、

「『ピラミッド』や『タワー』など、危険な技の高さの目安をこちらで設定したほか、各市町村の教育委員会を通じ、学校に向けても指導のポイントなどをまとめたガイドラインを通知しました。こうした取り組みが、確かな結果に結びついたと考えています」

と話す。また、運動会実施後の状況調査の中では「現場の教員が、丁寧で安全に配慮した指導に努めていた」との報告も受けているという。

「安全で無理のない運動を最優先に考えるべき」

   「ピラミッド」や「タワー」などの大技を禁止した大阪市では事故件数が激減したほか、組体操の実施を止める学校も増えたという。

   市の教育委員会によれば、安全対策に取り組む前の15年度には小中あわせて348校で組体操が行われ、骨折を伴う事故は42件起きていた。だが、今年度には組体操を実施する小中学校225校となり、骨折事故も12件に減少した。担当者は、

「『危険だからやめましょう』という呼び掛けに対し、それぞれの学校が答えて頂いた結果だと思います。ただ、事故の件数が減ったとはいえ、ゼロではありませんでした。これからも引き続き、事故防止の取り組みを続けていきます」

と取材に話した。

   また、千葉県流山市では市内の全25校の小中学校が、自主的に16年度の組体操実施を取り止めたという。市教委の担当者によれば、組体操の代わりに表現運動を実施した今年度は、けが人の報告がゼロになったという。

   その上で、15年度には組体操によって打撲などのけが人が出る事故が複数件起きていたとして、

「各学校が組体操を実施しなかったのは、児童や生徒にとって安全で無理のない運動を最優先に考えるべきだ、という判断からでした。ですので、けが人が減ったことについては、大変よかったと思っています」

と話していた。

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