死亡事故増加数は75歳以上で突出 高齢ドライバーが劇的に増えている

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   高齢者のドライバーが引き起こす交通事故が増えている。登校途中の小学生の列にクルマが突っ込んだり、病院の駐車場でクルマが突然走り出して歩行者をはねたりと、死亡事故が相次いで報じられている。

   一方で、高齢者よりも若者の方が事故率は高いという統計もあるが、少子高齢化社会で高齢ドライバーが急激に増えていることが、高齢者の事故件数を増やしている実態がある。

  • 「75歳以上」のドライバーによる死亡事故が増えている!
    「75歳以上」のドライバーによる死亡事故が増えている!
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全体の事故件数、死者数は減少傾向

   警察庁が2016年11月15日に公表した「交通事故統計」によると、16年10月末までに発生した交通事故は、前年同期比7.8%減の40万5109件。このうち、死亡事故は5.7%減の3037件で、3134人(前年比4.9%減)が亡くなった。発生件数、死者数ともに減少しているが、亡くなった人の53.7%が65歳以上の高齢者が占めている。

   一方、加害者(原付以上のドライバーで事故の過失の重い「第1当事者」)をみると、「65歳以上」のドライバーが起こした事故は783件で、死亡事故全体の28.6%を占めている。次に多いのが「40~49歳」の504件(構成比18.4%)。「50~59歳」の389件(14.2%)、「16~24歳」の334件(12.2%)と続く。

   10年前の2007年10月末は、「30~39歳」によるドライバーの死亡事故が799件と最多で、次いで「16~24歳」が720件と、若者による事故が多かった。「50~59歳」が716件。ただ、いずれも当時からはほぼ半減。急速に減っている。

   ところが、「65歳以上」は2007年10月末でも776件あり、それが16年10月末には0.9%増と、わずかとはいえ増えている。

   さらに、高齢者層の中で「75歳以上」のドライバーによる事故をみると、16年10月末時点で377件、全体に占める比率も13.8%を占めている。10年前と比べて30件(8.6%)増え、前年同期と比べても13件(3.6%)も増えている。

   「65歳以上」が高齢ドライバーだが、どの年齢層も前年同期と比べてほぼ件数を減らしているにもかかわらず、顕著に増えているのは、この「75歳以上」だけだ。

10年で730万人増えた高齢ドライバー

   警察庁の交通事故統計で、死亡事故の原因を年齢別にみると、「65歳以上」のドライバーの場合、ぼうっとしていたり、注意が散漫になっていたりする「漫然運転」の状況が142件、アクセルとブレーキのペダルの踏み間違いなどの「運転操作不適」が140件と、他の年齢層に比べてダントツに多い。

   睡眠不足や疲労など身体の調子が悪かったり、集中力がなかったり、誤った思い込みや思い違いによる誤操作で急発進したりするケースが少なくないことがわかる。認知症が疑われるケースもあった。

   それも、ふだん走り慣れた道路での死亡事故が多いことがうかがえる。生活圏の中の事故だけに、死亡事故につながりやすいこともあるようだ。

   一方、「16~24歳」で最も多かった事故原因は、「最高速度違反」の52件だった。わき見運転や前方不注意などもある。

   これまでは、一般に運転免許を取りたての若者ほど、運転になれていないため事故を起こしやすいと考えられてきた。それは損害保険の自動車保険にも表れていて、一般に保険料は年齢が若いほど高く、運転履歴が長くなり、事故がなければ保険料は下がっていく。しかし、最近は高齢者の交通事故が増えているため、たとえば35歳以上の年齢条件であれば、運転者の年齢が高齢者になれば保険料が高くなるように設定されている。

   ただ、警察庁の交通事故統計を「運転免許を保有する人10万人あたりの死亡事故の件数」でみると、「16~24歳」は5.82件に対し、「65歳以上」は4.58件で、「65歳以上」のドライバーより「16~24歳」のほうが高かった。

   しかし、急速な少子高齢化で、いまや日本の総人口の27.3%にあたる3461万人が「65歳以上」だ(総務省の人口推計、9月15日現在)。

   警察庁によると、免許を保有している「16~24歳」の若者は573万人で、全体の7.0%にすぎない。その一方で、「65歳以上」のドライバーは、この10年で約730万人増えて、1710万人となった(2015年12月時点)。免許保有者全体の20.8%を占めており、高齢者のドライバーは今後ますます増えることが見込まれる。事故率が多少低くても、高齢者の交通事故が目立つのはこうした背景もある。

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