高齢者のドライバーが引き起こす交通事故が増えている。登校途中の小学生の列にクルマが突っ込んだり、病院の駐車場でクルマが突然走り出して歩行者をはねたりと、死亡事故が相次いで報じられている。
一方で、高齢者よりも若者の方が事故率は高いという統計もあるが、少子高齢化社会で高齢ドライバーが急激に増えていることが、高齢者の事故件数を増やしている実態がある。
全体の事故件数、死者数は減少傾向
警察庁が2016年11月15日に公表した「交通事故統計」によると、16年10月末までに発生した交通事故は、前年同期比7.8%減の40万5109件。このうち、死亡事故は5.7%減の3037件で、3134人(前年比4.9%減)が亡くなった。発生件数、死者数ともに減少しているが、亡くなった人の53.7%が65歳以上の高齢者が占めている。
一方、加害者(原付以上のドライバーで事故の過失の重い「第1当事者」)をみると、「65歳以上」のドライバーが起こした事故は783件で、死亡事故全体の28.6%を占めている。次に多いのが「40~49歳」の504件(構成比18.4%)。「50~59歳」の389件(14.2%)、「16~24歳」の334件(12.2%)と続く。
10年前の2007年10月末は、「30~39歳」によるドライバーの死亡事故が799件と最多で、次いで「16~24歳」が720件と、若者による事故が多かった。「50~59歳」が716件。ただ、いずれも当時からはほぼ半減。急速に減っている。
ところが、「65歳以上」は2007年10月末でも776件あり、それが16年10月末には0.9%増と、わずかとはいえ増えている。
さらに、高齢者層の中で「75歳以上」のドライバーによる事故をみると、16年10月末時点で377件、全体に占める比率も13.8%を占めている。10年前と比べて30件(8.6%)増え、前年同期と比べても13件(3.6%)も増えている。
「65歳以上」が高齢ドライバーだが、どの年齢層も前年同期と比べてほぼ件数を減らしているにもかかわらず、顕著に増えているのは、この「75歳以上」だけだ。