TPP「骨抜き」で日本株は下がる?
日米など12か国が参加するTPP、環太平洋連携協定とは、参加国の関税を無税にして貿易を活性化することで、参加国の経済成長を促すことが目的。そのため、関税率の低い国ほど有利に働く傾向がある。日本の場合、TPP参加することで、関税率の高めの農作物への影響が大きく、不利。関税率が低めの工業製品には有利とされる。
つまり、日本は「TPPに参加すると株価が上昇、不参加だと下落」とみられていたわけだ。
そうしたなか、トランプ次期大統領が「TPP離脱」を明言したことで、事実上TPPが骨抜きになる可能性が高まった。ところが、現状では「下落」とみられていた株価が上昇している。
株価の動きを、どのようにみればよいのだろう――。
第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト、藤代宏一氏は「TPPは10年、20年といった長期にわたって効いてくる経済政策ですので、もともと短期的には影響がありません」という。
もちろん、米国株式市場の「トランプ相場」の勢いが東京株式市場に強く働いていることはあるが、そもそも、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏もTPPには「反対」だった。「(TPPは)じつはまったくといって(株価とは)関係ないといっていい」と話す。
とはいえ、日本では「TPPに参加しないと経済がダメになる」といわんばかりの騒動だったはず。藤代氏は、「状況が変わったことがあるかもしれません」と、こう続ける。
「たとえば5年前。当時、韓国では自由貿易を積極的に進めることで輸出シェアを伸ばしていました。その勢いで、日本企業が衰退した。しかし、韓国企業にその勢いはありません。ライバルの脅威がなくなってきたことが背景にあるかもしれません」
日本では11月10日にTPP承認案が衆院を通過。参加国はそれぞれ、国内の承認手続きを経て、発効を待つまでになっている。