韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の親友が国政に不正に関与したとされる、いわゆる「スンシルゲート」以外に、新たなスキャンダルが青瓦台(大統領府)に浮上した。野党の国会議員が、青瓦台が性的不能薬「バイアグラ」や、それに近い薬を大量購入していたことを明らかにしたためだ。
青瓦台は「アフリカ歴訪時の高山病の治療のために用意した」と主張しているが、説明が不合理だと指摘する声がメディアから相次いでいる。
野党議員が青瓦台の医薬品購入内訳資料を公表
今回のスキャンダルは、最大野党「共に民主党」の金相姫(キム・サンヒ)「議員が2016年11月23日、清田外の医薬品購入内訳資料をメディアに公表して明らかになった。それによると、15年12月にバイアグラ60錠と、バイアグラの後発薬(ジェネリック薬)300錠以上を購入していたという。
聯合ニュースなどによると、青瓦台の鄭然国(チョン・ヨングク)報道官がバイアグラは高山病の治療薬でもあるとして、
「アフリカ歴訪の際に高山病の治療のために用意したが、使ったことはない」
と釈明した。朴大統領は16年5月、エチオピア、ウガンダ、ケニアのアフリカ3か国を訪問している。この随行員のために用意したという説明だ。
バイアグラより安く効果が高い高山病薬が売られている
だが、この説明は韓国メディアには納得されていない。KBSテレビは、(1)現在の市場では、バイアグラよりもはるかに安く効果も高い高山病予防・治療薬が販売されている(2)バイアグラが高山病の症状をむしろ悪化させるという実験結果もある、と説明。
KBSによると、青瓦台はこれまでも効果が医学的に検証されていない「にんにく注射」などを購入したことが既に確認されているとして、
「今回のバイアグラを購入した事実まで加わり、各種の疑惑をあおることになっている」
とした。
ハンギョレ新聞は、バイアグラ購入からアフリカ歴訪まで6か月もあったことを疑問視。それに加えて、訪れたアフリカ3か国の首都の標高は、最も高いエチオピアのアディスアベバでも2355メートルだったとして、
「高山病が通常標高3000メートルを超えるときから症状が現れることを考えると、3か国のいずれも高山病が起こりやすいとは考えにくい」
とした。
「火つけ役」になった金議員は、MBCテレビとのインタビューで、(1)青瓦台はすでに別の高山病治療剤を購入していた(2)バイアグラを勃起不全治療以外の目的で処方するのは韓国では違法、などと指摘している。