目線で火花を散らしていたはず
荒井さんによると、2人は3分間、本当に「ピクリとも動かなかった」という。観客は驚いていたようで、荒井さん自身も「珍しいですよね。私はあのような試合を、今まで一度も見たことがありません」と話す。
一方、
「思うに、真剣を使った立会いでは、ああいうこともあったのではないでしょうか」
と指摘する。
「書物の話になりますが、真剣を持った侍の斬り合いだと、互いにじりじり間合いを詰めて、根負けした側が『参りました』と降参します。剣先をちらつかせながら気迫で争うわけです。今回の試合はそれに近いものがありました。動いてはいませんが、目線で火花を散らしていたはずです。『どこで打つか』というタイミングは、お互いにもう分かりきっていたでしょうから」