高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
選挙後のトランプ氏は「別人」 共和党との関係改善は進む

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TPPベースでアメリカとの2国間貿易交渉に臨む状況に

   トランプ氏の積極財政に、財源問題があると指摘されるが、これは議会の共和党次第である。オバマ政権の時には、2014年11月の中間選挙以降、上下院ともに共和党支配であったので、オバマ政権と議会は対立して、重要法案はほとんど成立しなかった。

   大統領選挙期間中、トランプ氏と共和党は対立したために、その対立構造が再燃すると予想する人もいるが、筆者はこの点で大統領選選出後のトランプ氏は別人とみる。

   トランプ氏も議会と協力しないと、政策が通らないのをよく知っている。共和党主流派も、8年間も民主党政権で久々の共和党政権である。トランプ氏を持ち上げて、共和党色を強めたいはずだ。ということは、お互いが協力するのが、ベストな解決策となる。お互いに主張はするが、最後にはお互いに妥協して、物別れとはならないだろう。

   その結果、トランプ氏の政策は100%でないとしても、そこそこ実現するだろう。そこが、オバマ政権と議会共和党時代との決定的な違いである。もしクリントン氏が大統領になったら、上下院の過半数を握る共和党と「ねじれ」が顕在化して、就任早々から「レームダック」状態になった可能性すらあり、これもトランプ大統領でほっとしている理由である。要するに、トランプ氏の政策は、従来の共和党色を加えて、実現すると思われる。

   そうした観点から、話題のTPPをみると、TPPの3要素である(1)自由貿易、(2)中国除き(国有企業改革や知的所有権保護など)、(3)多国間協定、のうち(3)の多国間協定が否定され、あらたな貿易協定に変質する可能性がある。

   日本は、アメリカ以外のTPP国の代表となって、TPPベースでアメリカとの2国間貿易交渉に臨む状況になるだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、 いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。 著書に「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、 「戦後経済史は嘘ばかり」 (PHP新書) など。


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