「大っぴらに言えない空気」にとらわれることなく
一体なぜ、こうした特集を組んだのか。「正論」の八並朋昌編集長はJ-CASTニュースの22日取材に、前号「『美しい日本』ものがたり」(7月22日発売)で「日本の美点」を取り上げたことがきっかけだったと明かす。
前号では、現在に続く「日本の美点」や「戦後著しくねじ曲げられ、誤解されている戦前の事物、人物」を取り上げる中、神道や仏教について触れた。
そんな経緯もあり、
「(日本の美点とは)人々が目に見えぬもの(たとえば神や仏など)への畏れを持っていることではないか。その畏れが信仰心となり、宗教を形づくり、人々自ら霊性をそなえ、霊界を感じてきたのではないか。それは現在の日本人にも受け継がれているのではないか」
と考えるようになったという。
「霊性や霊界とはどういうものか、死とは何か、あの世はどういうところか、葬送・埋葬はどうなっているのか、そして『畏れ』『信仰心』を人はどうしているのか、などを改めて見つめたいと考えました」
八並編集長はそう振り返る。とはいえ、読者の反応はさまざまだ。発売前のチラシを見た「正論愛読者」の30代男性には「保守論壇を支える月刊正論の系列誌で硬派なテーマを取り上げてきた別冊正論が壇蜜とは何だ」と激しく叱られた。
一方、「思い切ったテーマだ、新聞社が出す雑誌で霊界をテーマにするとは...。読み応えがありそうで勉強になる」(50代男性)、「私もあの世はあると漠然と思っている方でしたが、知らないことがいろいろ乗っているので、これからじっくり読みたい」(40代女性)といった称賛の声も寄せられているという。
取材の最後、八並編集長は
「現在の日本には『霊魂』や『あの世』を感じたり信じたりしても、大っぴらに言えない空気があるように思います。『別冊 正論』はタブーを気にせず、とらわれることなく、必要なこと、大切なことを、勇気をもって問いかけていく所存です」
と意気込みを述べた。