2016年11月22日朝、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.4の地震が起き、福島県などで震度5弱を観測した。津波警報が発令された福島県と宮城県では、地震で発生した津波が川を逆流する様子が確認された。
「逆流してる!逃げた方がいい」「河川からは離れて」――。ツイッター上には、川に押し寄せる津波をとらえた画像や動画が、こうしたコメント付きで続々とアップロードされている。
白波を立てた津波が...
今回の地震にあたって気象庁は、青森県から千葉県にかけての太平洋沿岸部と伊豆諸島で津波警報・注意報を発令した(22日12時50分にはすべて解除)。津波は広い範囲に到達し、宮城県の仙台港では朝8時3分に高さ1メートル40センチの波が観測された。
仙台港につながる「砂押川」(多賀城市)では、海から押し寄せた津波で川が「逆流」する様子が確認された。ツイッターには、複数のユーザーがその様子をおさめた動画を投稿している。
地元の消防団員の男性が8時41分頃に撮影したという動画では、白波を立てた津波がかなりのスピードで上流へとのぼっていく様子が分かる。その後、9時45分頃には「川の流れがかなりの速さで海へ流れています。波が引いているようです」とも報告している。
仙台土木事務所の河川砂防班の担当者はJ-CASTニュースの取材に、河口から約3キロ離れた水位計でも水位の上昇が観測されたと話す。地震発生直後の朝6時の水位は20センチだったが、ピークの9時には92センチにまで上昇したという。
当時は水位が満潮に向かう時間帯だったが、担当者は
「津波の影響で、水位が通常よりも上昇した可能性はある」
と話していた。ただ、人的被害や護岸設備などへの物的被害は、どちらも「報告されていない」という。
「可能な限り川には近づかないように」
津波が川をさかのぼる様子は、福島県いわき市を流れる「蛭田川」(びんたがわ)でも確認された。現地のツイッターユーザーが朝6時58分、車で避難している途中で撮影したという動画によれば、ゆるやかに波が逆流している。避難をうながすためか、大音量でサイレンが鳴り響いていることも分かる。
福島県河川整備課によれば、津波注意報が解除された後に担当の土木事務所が蛭田川付近をパトロールしたが「異常はなかった」との報告を受けた。
ツイッターではそのほかにも、砂押川や蛭田川が「逆流」する様子をおさめた写真や動画が数多くアップロードされている。その多くは高所から撮影されたものだが、なかには河川敷や橋の上など川に近い場所で撮ったとみられる動画もあった。
こうした動きについて、福島県河川整備課の担当者は、
「今回はそこまで大きな波が来なかったかも知れませんが、東日本大震災の例もあります。津波の警報や注意報が出ているうちは、可能な限り川には近づかないようにして欲しいと思います」
とも注意を促す。実際、県の方でも、河川付近のパトロールは注意報が解除された後で実施したという。