電力小売り全面自由化は「かけ声倒れ」?
ただ、改善勧告と同じ日に記者会見した東電EPは「相場操縦の意図はなかった」との見解を示した。とはいえ、「下限価格」なるものを設けて一定価格以上で売り注文をする仕組みがあったことは認めており、この下限価格は自主的に撤廃したとしている。東電グループにすれば、原発再稼働がなかなか進まないなかで契約者がどんどん新電力に切り替える事態は経営に直撃するだけに避けたいところ。そんな思いの強さが「つり上げ」につながった可能性はある。
4月に電力小売り全面自由化で一般家庭も新電力から電気を買えることになった。ただ、大手電力から新電力への切り替えは都心部を中心に3%程度にとどまっている。関心ある人の切り替えは終わっており、今後さらに伸びていくとはみられていない。監視委を所管する経産省とすれば、電力小売り全面自由化の初年度にあたり、「かけ声倒れ」になりかねない新規参入を妨げる行為を見過ごすわけにはいかなかったようだ。