越路吹雪にアン・ルイス、テレサ・テン...この顔ぶれを見て、民放各局が年末に放送する「往年のヒットソング特集」を思い浮かべる人も多いだろう。
実はこれ、アイドルグループ「HKT48」の指原莉乃さん(24)のソロディナーショーで披露された歌だ。3万円以上の高額チケット、昭和歌謡満載のセットリストで注目を集めた今回のディナーショー。浮き彫りとなったのは、指原さんを支える中高年おっさんファンの存在だ。
「自民党のパーティーか!?」
指原さんは24歳を迎える1日前の2016年11月20日、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)で初のディナーショーを開いた。
「きょうはバラエティータレントでなく、シンガー指原の世界にいざないます」と宣言し、1曲目に「サン・トワ・マミー」(越路吹雪)をしっとり歌い上げた。
ディナーショーは昼夜2部。いずれも「六本木心中」(アン・ルイス)、「マイウェイ」(布施明)、「人生いろいろ」(島倉千代子)、「つぐない」(テレサ・テン)など昭和のヒット曲が目白押しだ。
「LOVEマシーン」(モーニング娘。)や「前前前世」(RADWIMPS)といった平成のヒット曲も披露されたが、ほんのわずか。もちろん、48グループの曲は一切出なかった。
指原さんの年齢から想像もつかない選曲の背景に、何があったのか。一番に考えられるのは、ファンの年齢層の高さだろう。
自身もそうした事情を自覚しているのか、公演中に客席を見まわし、「年齢層高すぎ。自民党のパーティーか!?」と冗談を飛ばした。また、夜の部に登場したお笑いコンビ「フットボールアワー」の後藤輝基さんは「何がすごいって年齢層高すぎるやろ!」とツッコんだ。
シリアルコードが老眼で読めない
指原さんは今まで何度か、ファンの年齢層に触れている。16年5月29日放送の「渋谷のさしこ」(コミュニティーFM局「渋谷のラジオ」、月1回放送)で、
「指原のファンの人ってね、50代・60代が多いんですよ。普通、ファンの方は『一生懸命頑張るからね』『疲れるけどいっぱい投票するからね』って(総選挙前に)言ってくれるんですけど、うちのファンは文句が多くて、『(シリアルコードの)文字が老眼で読めない』『目が疲れる』って。今まさにみんな老眼と戦っているときだと思う」
と冗談交じりに語り、
8月28日放送の「土田晃之 日曜のへそ」(ニッポン放送、毎週日曜放送)で、
「私は『50・60喜んで』パターンのアイドルなので。本当に握手会もそういう世代の方ばっかり。私のレーンだけ、本当におじいちゃんばっかり」
と明かした。
ディナーショーのチケットは3万4500円という強気の料金設定にも関わらず、発売後すぐに完売した。あるときは票で、またあるときは金銭で。何万人もの「おっさん」が、指原さん人気を強く支えている。