電車やバスのつり革は「不潔だからつかめない!」――。そんな悲痛な叫びをきっかけに生まれたアイデア商品が、発売から3か月で2000個以上を売り上げている。それだけ、つり革を「不衛生」と感じる人が多いということだ。
事実、インターネット上には「手袋なしではつり革つかめない」「汚いから触らない」といった投稿が毎日のように寄せられている。
つり革「触りたくない」女性は5割超?
いま注目を集めているアイデア商品とは、つり革専用の携帯グリップ「GripPon(グリッポン)」だ。手とつり革の間に挟み込むだけで「素手でつり革をふれなくて済む」というシロモノで、素材には抗菌材を練り込んだ樹脂を使用している。
開発したのは、樹脂製品を扱う創考テクノ(神奈川県座間市)。希望小売価格は700円(税別)だ。2016年7月の発売から3か月で2000個以上を売り上げるなど、若者層を中心に徐々に評判を広げている。
商品を考案・開発した創考テクノの代表取締役社長は11月18日のJ-CASTニュースの取材に、
「以前、電車に乗っているときに、つり革を掴まなかったために転んでしまった女性がいました。彼女に『なぜつかまないのか?』と聞いたんですが、その答えが『汚いから触りたくない』だったんですよ」
と話す。こうしたエピソードが、社長が「グリッポン」を開発するきっかけになったという。
実際、開発にあたって普段電車を利用する500人以上の女性にアンケートをとったところ、半分以上が「危ないからつり革を掴みたいが、できれば触りたくない」と回答。さらに、全体の3割近くの女性は、
「つり革は絶対につかまない」
と答えたという。
「くしゃみ抑えた手でそのまま・・・」
実際、ネット上をみても「つり革を触りたくない」派からの投稿が数多く寄せられている。ツイッターには、
「なにか間にはさまないとつり革なんて触れない」
「とっさに掴んだつり革がぬるぬる これでつり革恐怖症が増した」
「くしゃみ抑えた手でそのままつり革持つの見てしまった」
など実体験を交えた書き込みが毎日のように寄せられているのが現状だ。「絶対につかまない」と宣言しているユーザーも数多く出ている。
とはいえ、ここ最近では「抗菌仕様」のつり革が主流になりつつある。実際、つり革などの鉄道車両を制作する総合車両製作所の担当者は取材に対し、「現在のつり革は基本的に抗菌仕様になっている」と話す。
なお、花王が運営するウェブマガジン「マイカジ」が15年5月19日に公開した記事の中で、衛生微生物研究センター所長の李憲俊(り・のりとし)氏は、
「基本、『抗菌』のつり革には菌が繁殖しづらい場所なので、神経質になる必要はありません」
とコメントしている。