「韓国漁船の操業も適切に管理することが重要」
実際のところ、韓国でのタチウオ人気はどれほどなのか。韓国出身で都内のIT企業につとめる30代男性に聞くと、
「一昔前は価格が安く、カルチは日本でいうサバのような『大衆魚』でした」
と話す。この男性も、家庭ではタチウオの煮付けや塩焼きなどの料理を食べた記憶があるという。
だが、この男性によれば、ここ最近になって値段が高騰しているとして、「高級魚に近いイメージに変わりました」とも話していた。先述の有田市水産係の担当者も、タチウオについて「韓国では高級魚の扱いを受けているようです」と話していた。
こうした韓国でのタチウオ人気が日本に与える影響は、輸出の問題だけではないようだ。
農林水産省の漁場資源課が10月28日に公表した「資源評価報告書」(ダイジェスト版)によれば、日本の排他的経済水域(EEZ)内での韓国のタチウオ漁獲量は「日本の漁獲量と同程度」だという。その上で、「韓国漁船の操業も適切に管理することが重要」としている。
報告書を取りまとめた西海区水産研究所資源海洋部によれば、タチウオの生息域は日本海から東シナ海にわたるため、中国や韓国漁船の「乱獲」が国内資源に与えている影響も大きいという。そのため、
「タチウオの資源回復のためには、周辺諸国との協力が必須でしょう」
とも話していた。