赤ちゃんの突然死を防ぐには 米学会が推奨する14の注意

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   赤ちゃんの病気の中で最も恐ろしいといわれる乳幼児突然死症候群(SIDS)。原因不明なだけに親の心配はひとしおだが、2016年10月、米国小児科学会がSIDSを予防するための保護者向けの新しいガイドラインを学会誌「American Academy of Pediatrics」に発表した。

   硬いマットレスに寝かせる、枕元にやわらかい物を置かない、部屋を暖めない、「おくるみ」は危険...など最新の研究成果を盛り込んだ具体的な内容だ。

  • うつぶせ寝やおもちゃは危険!
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「枕元のぬいぐるみは危険」「1歳まで同室で寝る」

   厚生労働省によると、乳幼児突然死症候群は、それまで元気だった赤ちゃんが、何らかの事故や異物がのどに詰まる窒息ではなく、眠っている間に突然死亡してしまう病気だ。2015年は全国で96人の乳児が亡くなった。出生児の6000~7000人に1人が発症し、生後2か月から6か月に多い。

   前兆が一切ないのが特徴だ。原因は不明だが、同省研究班によると、男児・早産児・低出生体重児・人工授乳児に多く発症する。時間帯では冬の寒い時期や早朝から午前中にかけて起こりやすい。また、うつぶせ寝の状態で発見されることが多く、両親が喫煙している乳児に多い傾向がある。そこで、同省では(1)うつぶせ寝は避ける(2)タバコはやめる(3)できるだけ母乳で育てる、の3つを推奨している。

   米国小児科学会が発表した14項目は次のとおりだ。

   (1)乳幼児が1歳になるまで、必ず仰向けに寝かせる。横向きやうつ伏せは危険だ。

   (2)必ず硬いマットレスなどの上に寝かせる。ふかふかの布団や気泡で作られたマットレスは窒息の恐れがある。

   (3)ソファーや椅子には決して寝かせない。すき間に顔がはさまって動けなくなり、窒息死するケースが多い。車の座席で寝かせるのも危険だ。

   (4)母乳で育てよう。母乳育児の子は突然死が少ない。

   (5)生後6か月、できれば1歳までは親と同じ部屋で寝る。乳児に万が一のことがあっても助けられる。同じ部屋で寝ると突然死のリスクが50%減る。ただし、親と同じベッドで寝かせず、ベビーベッドやマットレスに寝かせる。

   (6)窒息死を避けるため、乳児が寝る場所にやわらかい物(枕、掛布団、キルト、ぬいぐるみなど)を置かない。

「寝かしける時おしゃぶりを」「薄着にして汗をかかせない」

   (7)寝かしつける時はおしゃぶりを与えるとよい。メカニズムは不明だが、おしゃぶりは突然死の防止に効果があるというデータがある。ただし、ひも付きのおしゃぶりを幼児の首にかけると窒息の危険があり、寝ついたら取る。

   (8)妊娠中と出産後は禁煙する。喫煙する母親の子は突然死が多い。乳児が受動喫煙にならないようにする。

   (9)妊娠中と出産後は禁酒する。飲酒する母親の子は突然死が多い。

   (10)室内温度を高くして乳児が汗をかくと突然死のリスクが高まる。乳児の部屋を必要以上に暖めない。乳児の服は大人より1枚少ないのがよい。また、頭を毛布などで覆わない。死亡例の多くが頭に物をかぶった状態で発見される。

   (11)妊婦は定期検診をきちんと受ける。定期検診を受けた母親の子は突然死が少ない。

   (12)推奨されているワクチンはすべて接種する。

   (13)「乳児の突然死を避ける」と宣伝されているマットレスなどの市販製品を使わない。突然死の原因が明確ではない現在、突然死を予防できる科学的な根拠はまだ示されていない。そうした器具の使用より、安全な睡眠習慣をつける方が重要だ。

   (14)寝返りをさけるため乳児を毛布などでつつむ「おくるみ」は勧められない。「おくるみ」をすると突然死のリスクが高まるというデータがある。

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