加齢に伴い現れるズキズキする膝の痛み。原因の大半が「変形性膝関節症」によるものといわれ、治すのが難しい病気だが、キャベツの葉を膝に巻くと痛みが緩和するという研究がまとまった。
ドイツのデュイスブルク・エッセン大学のチームが痛みの専門誌「Clinical Journal of Pain」(電子版)の2016年11月1日号に発表した。
古代ローマ人も使った2000年の民間療法
ヨーロッパでは、キャベツは古代ローマ時代から薬草として使われてきた。特に、打撲や炎症などで痛む箇所に葉を湿布して痛みを和らげる民間療法が各地に伝わっている。また、風邪をひいた子どもに、葉を刻んで入れる「キャベツ枕」で寝させたり、頭をすっぽり葉でつつんだりすると、熱がひくといわれている。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、膝を曲げたり伸ばしたりする動きが悪くなり、痛みや腫れを引き起こす。加齢による老化現象や肥満による膝への負担増、スポーツや肉体労働のしすぎなどが原因とみられる。すり減った軟骨は元に戻らないので完治が難しく、重症になると手術が必要になる。
現在、国内の患者数は約1200万人、要治療者は約700万人といわれるほど一般的な病気だ。40歳以上の男女の6割がかかるというデータもある。男性より女性が多く、高齢者では男性の約4倍になる。
論文によると、研究チームは現在もヨーロッパで行なわれているキャベツの葉の湿布療法が、変形性膝関節症の痛み緩和に効果があるかを調べた。変形性膝関節症の進行度がステージ2~3の患者81人(女性42人・男性39人、平均年齢65歳)を対象に選んだ。ステージ2は、膝に違和感を覚える初期の段階だが、ステージ3になると手術が検討される。対象者を次の3つのグループに分け、それぞれ4週間治療を続けた。
(1)毎日2時間以上、膝にキャベツの葉を巻き、タオルで締めて湿布する。
(2)毎日1回以上、痛み止めのジェル剤(ジクロフェナク)を膝に塗る。
(3)通常のケアをする。
治療を終えた後、それぞれのグループの痛みの度合いを調べると、キャベツの葉グループとジェル剤グループは、ほぼ同じレベルに痛みの度合いが減っていた。通常のケアのグループに比べ、12.1%痛みが緩和された。また、キャベツの葉グループは、椅子からの立ちあがり動作など膝の運動能力のテストでも効果がみられた。
研究チームのクリニケン・エッセンミッテ教授は、論文の中で、「何の成分が影響したのかは今後の研究課題ですが、キャベツの葉が、変形性膝関節症の患者の生活改善に、通常のケアより効果があることが示されました。私たちは膝の痛みの緩和にキャベツの葉を推奨します」とコメントしている。
痛くてツライ胸のハリが「ひんやりと気持ちよく」
キャベツの葉の湿布は、日本でも授乳中のママの乳腺炎対策でよく使われている。母乳育児の専門サイト「もうつまらせない!看護師ママの『乳腺炎』克服マニュアル」(2015年4月19日付)の中で、次のように紹介されている。
「痛くてツライ乳腺炎。熱まで出て頭がボーッとしている時に、赤ちゃんを連れて乳房外来まで走るなんて大変。そんな時の強い味方がキャベツ。湿布の作り方は簡単、キャベツの葉をはがして患部に乗せるだけ。ぬるくなったら取り替えます。できればサッとゆで、しっかり冷ましてから使うのがベスト」
ママさんのサイト「パピマミ」の「仰向けで眠れない!? 産後ママに多い胸のハリ『乳房緊満』の知識」(2015年12月8日付)の中では、次のような体験談が紹介されている。
「冷やしたキャベツの湿布は、私も以前助産師さんからアドバイスをいただいて試したことがあります。最初は『キャベツを貼るの?』と驚きましたが、ひんやりと気持ちよく、つらい症状が緩和されました」
ほかに注意点は、乳首を避けてキャベツを貼ること、キャベツが取れないようにとラップなどで覆うと熱がこもるのでかえってよくないこと、スポーツブラなどで固定して貼るといいこと。キャベツがもったいないという人は、シナシナになったキャベツを冷蔵庫で冷やすと、元に戻り、何度でも使うことができるそうだ。