年金改革めぐる新聞社説バトル 「的外れの主張」はどちらの陣営?

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読売・産経は野党批判

   ただし、注意が必要なのは「政争の具を避ける」といった表現は、政策を進めたい政権側が、反対する野党に対して使うことが多いフレーズでもある点だ。

   実際、読売は「賃金の下落を年金額に適切に反映する仕組みは妥当である」と法案を基本的に支持する姿勢を示したうえで、民進党の「年金カット法案」批判について「目先の年金額のみに注目し、長期的視野を欠いた、的外れの主張」と真っ向から批判。同様に、「政府・与党は先送りすることなく、今臨時国会での成立を目指してもらいたい」と法案支持を明確にする産経も「野党の批判には、次期衆院選で争点化したいとの思惑があるようだが、年金改革を政争の具にすることは慎むべきである」と、読売同様、野党批判に力を入れる。

   日経は「高齢者にとっては厳しい措置になる。しかし、孫の世代のための改革と考えれば、理解を得られないだろうか。保険料を負担する人は減り、年金受給者は増えるのだから、どちらも痛みを分け合って、制度の持続性を高めていくしかない」と法案の方向に沿って理解を求める姿勢。同時に、「デフレを脱し、安定して賃金が上がる環境作りに政府や与野党は全力を尽くすべきだ。それこそが年金制度の安定にもつながる」と、デフレ脱却の重要性を説くあたりは、「経済紙らしさ」か。

   デフレとの関連では、読売がマクロ経済スライドについて、「デフレや低成長の下では繰り越しが続くだけで、不十分だ。経済情勢にかかわらず完全実施すべきである」と、デフレでも下げろと主張しているのが際立つ。

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