「過去最高」純利益でも顔色さえず 小野薬品工業と「オプジーボ」への「逆風」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

高額批判の影響

   もう一つは「薬価が高すぎる」との批判だ。患者1人当たり年間約3500万円になり、約5万人とされる投与対象全員に使われるとした場合、その薬剤費は年間1兆7500億になる計算で、国の医療費への影響が大きすぎるとの声が上がり始めた。全国保険医団体連合会の調べでは、日本で100ミリグラム当たり約73万円なのに対し、米国で同約30万円、英国では約14万円と、海外での価格が国内より低いことも批判に拍車をかけた。薬価は通常、2年に1度改定されるが、厚生労働省は年間販売額が企業の予測を大幅に上回った場合に薬価を見直せる特例にのっとり、2018年度の次期改定を待たずにオプジーボの価格を2017年度に25~50%程度引き下げる方針だ。

   さらに競合薬の出現も小野薬品株の上値を重くする。16年9月に承認された米メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」で、年末までに発売される可能性が出てきた。オプジーボには、これまで確認されていなかった重症の糖尿病などの副作用が報告されていることも逆風だ。

   11月7日に小野薬品が発表した16年9月中間決算は、純利益が前年同期比94.7%増の231億円と過去最高を更新した。しかし、記者会見した相良暁社長の顔色は必ずしもさえず、「患者の獲得が予定を少し下回っている」と述べた。小野薬品株は11月9日に年初来安値となる2400円をつけた。その後は見直し買いなども入って株価はやや持ち直しているが、市場では「オプジーボ頼みのままでは大きな反転は難しい」との見方も強い。

1 2
姉妹サイト