京都市の新キャラクターに賛否両論だ。
平安時代からタイムスリップしてきたという3人の「麻呂」が、京都市の啓蒙を目的に世界遺産の二条城や知恩院といった名所で踊りまくる。顔は「麻呂」らしい濃いメークとド派手な和服衣装だ。
「怖いんですけど」「頭すこし未来に行ってしまったの?」などといった声が挙がる一方で、3人のパフォーマンス動画に見入ってしまう人が続出している。ふざけている、と言い切れないのはダンスがあまりに見事だからだ。
知恩院の屋根でダンス披露をしてドッキリ!
キャラクターは麻主麻呂(ましゅまろ)、麻呂八華(まろやか)、麻倶呂(まぐろ)の三人。グループ名は「平成KIZOKU」だ。動画は現在4種類用意されていて、市内の幼稚園児と一緒に踊ったり、プールで美女を観察したり、居酒屋で酒を飲んだりしている。さらに、二条城などの名所旧跡や、CGではあるが知恩院の屋根でダンスを披露する。ダンスのジャンルは「アニメーション」で、ウェーブを利かせたり、ロボットのような動きをポップな音楽に合わせたりしている。「今日の京も、いとたのし」「京都市は3年連続待機児童ゼロ」などといった京都市のPRがテロップで流れる。
この動画は現在、TVCMと、市内の映画館で流れている。どうしてこのようなキャラを作り動画を作製したのか。市に2016年11月15日、J-CASTニュースが取材した。広報担当者によれば、
「市政に興味のない人でも引き付ける事が出来るアイディアを探しまして、『京都市でなければ成立できない』このような案が採用されました。初めはふざけているんじゃないかと言われる不安があったのは事実ですが、カッコイイと好評で、胸を撫で下ろしています」
と説明した。シークレットでこの動画を登場させたのが10月17日で、24日にその全貌を明かしたのだという。
ネット上でも衝撃を持って受け止められ、賛否両論となり、
「京都公式のCMなんだけど京都どうしたの?頭すこし未来に行ってしまったの?」
「怖いんですけど」
のほか、
「市がやってるとは思えないような内容と曲だった。超かっこよくて笑った」
「平成KIZOKUめちゃくちゃかっこいいしfazerockさんが曲提供してるしキャラ設定くそ萌えるし動画で使われてる曲が公式サイトでDLできるし最高かよ」
などといったつぶやきがツイッターに出ている。
中の人の正体は世界で知られる「TRIQSTAR」メンバー
そもそも批判一色にならなかったのは「平成KIZOKU」のダンスの見事さだ。実はこの3人、今や世界でも名を馳せているダンスユニット「TRIQSTAR(トリックスター)」のメンバーだ。実際にこのユニットは「日本から世界へ」のダンススタイルで、和服風の衣装や時には能面風の仮面をかぶり、和楽器で演奏した音楽を使ってのパフォーマンスが有名だ。15年5月にはシンガポールで行われた世界一のオーディション番組「America's got talent」に出場し絶賛を浴び、1000を超えるパフォーマーの中から日本人で唯一、決勝の6組に選出された。メンバーの一人はお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の「PERFECT HUMAN」でバックダンサーとしても活躍している。京都市では「平成KIZOKU」のパフォーマンス動画を年間に14本制作する予定で、京都市の文化や伝統産業をPRしていく計画になっている。