Siriに「死にたい」と言うと「幸福の科学」サイトへ 検索機能の不思議を推理した

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   iPhoneの音声認識システム「Siri」に「死にたい」と語りかけると、「幸福の科学」のウェブサイトが真っ先に提案される――。そんな報告が、以前から相次いでいる。

   ネットの指摘を通じて浮かび上がったのは、Siriの検索システムの独自性だ。幸福の科学によると、検索結果で上位表示させるための対策は「一切行っておりません」という。

  • 一番上は「自殺防止サイト」(画像はSiriの応答画面)
    一番上は「自殺防止サイト」(画像はSiriの応答画面)
  • 一番上は「自殺防止サイト」(画像はSiriの応答画面)

ページを下にスクロールすると「大川総裁の法話」

   「死にたい」とSiriに相談するとしよう。手持ちのiPhone に音声を吹き込むと、

「もし自殺について考えていらっしゃるのなら、どこかの相談窓口に電話してみませんか?   『自殺防止』に関するこちらの情報がWebで見つかりました」

と応答があり、検索結果が表示される。

   先頭は「自殺防止サイト―あなたに贈る心理の言葉」(以下、「自殺防止サイト」)と題するサイトだ。トップページにはいくつかのイラストと自殺志願者へ訴えかける文章が掲載されている。「みなさんの人生は、数多くの天使たちによって見守られている」「今世の魂修行を許可された」など独特の表現が目につく。

   運営者は一見分かりづらいが、ページを下にスクロールすると、「幸福の科学」大川隆法総裁の法話が聞けるYouTubeページのリンクが現れる。

   そして最下部に、「『自殺を減らそうキャンペーン』について」というリンクがある。クリックすると、幸福の科学のキャンペーンページへ飛んだ。

   この現象は少なくとも2年前からツイッターで指摘されており、

「複雑な気持ちになった」
「やってみたら本当だった」

との声が今なお寄せられている。ITライター・編集者の篠原修司さんは16年11月13日、「Yahoo!個人」の記事で本件を取り上げ、「結果として行政機関による対策先ではなく特定の宗教へと案内してしまう」と指摘した。

   幸福の科学広報局によると、この「自殺防止サイト」は09年にオープンし、14年にリニューアルされたという。

幸福の科学「(上位表示の対策は)一切行っていない」

   Siriはなぜ幸福の科学を選択したのか。調べてみると、Siriが現在採用するマイクロソフト社の検索エンジン「Bing」とSiriの検索機能の2つが関係していそうだ。

   今回の場合、Siriは音声認識した言葉を別の言葉に自動変換した可能性が強いことがわかった。結論から言うと、Siriは「死にたい」という言葉を認識しながらも、実際には「自殺防止」という言葉で検索したようなのだ。

   2016年11月15日現在、スマートフォンからBingで「自殺防止」と検索すると、今回の「自殺防止サイト」が先頭に表示される。一方、Bingで「死にたい」で検索すると、「人はなぜ『死にたい...』のか」というNAVERのまとめ記事に飛び、「自殺防止サイト」は1ページ目どころか2ページ目にも表示されなかった。

   ちなみに、同じ検索ワードを入力しても、使うエンジンによって表示順序が異なる。「自殺防止」でスマホ検索すると、GoogleはNPO法人の公式サイト、Yahoo!は厚生労働省の運営する電話番号「こころの健康相談統一ダイヤル」を先頭に表示した。

   なぜ、Siriはこのような検索システムになっているのか。J-CASTニュースはアップル・ジャパンに14日から問い合わせているが、回答は返ってきていない。

   一方、幸福の科学広報局は15日のJ-CASTニュースの取材に対し、Siriが検索エンジンにBingを採用し、最初に自分たちのサイトが表示されることは把握しているものの、「自殺防止サイト」を上位表示させるための対策は「一切行っておりません」と話している。

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