ワタミ、新業態で黒字見えた 居酒屋「和民」は消えるのか

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   「ブラック企業」指摘によるブランドイメージの低下と他の居酒屋との競合激化で客離れが進み、業績が悪化していたワタミに、復調の兆しが見えてきた。その背景には、新しい業態の店名から「ワタミ」のイメージを消したことが奏功している。

   2016年11月10日に発表された16年9月中間連結決算によると、本業のもうけを示す営業損益の赤字は前期から縮小。通期予想は1億円(前期は2億円の赤字)の黒字転換を見込んでいる。

  • 続々と増える「ワタミ」の新業態店(画像は、ワタミのホームページ)
    続々と増える「ワタミ」の新業態店(画像は、ワタミのホームページ)
  • 続々と増える「ワタミ」の新業態店(画像は、ワタミのホームページ)

「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」続々オープン

   ワタミの中間連結決算は、売上高が前年同期比30.6%減の482億円。営業損益は10億円の赤字(前期14億円の赤字)、純損益は13億円の赤字(前期20億円の赤字)だった。中間期の赤字は3年連続だが、前年よりも赤字幅は縮小した。

   好調の理由の一つに、ワタミが進めている「業態転換」がある。数ある外食業にあって、ファミリーレストランなどに比べるとアベノミクスの恩恵に乗り遅れた居酒屋チェーンは業績不振が著しい。そうしたなか、ワタミは主力の「和民」や「わたみん家」の業態転換を加速。ここ数年、炉ばたやの「銀政」やBARU&DINING「GOHAN」、炭火串焼きの「炭旬」、「TGIフライデーズ」や「WANG'S GARDEN」「ちゃぶまる」にステーキハウスの「にくスタ」など10を超える業態を展開。さらに2016年に入って、旨唐揚げと居酒メシ「ミライザカ」や焼き鳥の「三代目 鳥メロ」と、続々と新業態を増やしている。

   「ミライザカ」は2016年9月末時点で33か店。「三代目 鳥メロ」は7月に東京・国立市の国立南口店、武蔵野市の武蔵境店、調布市の仙川駅前店が1号店として同時オープン。それ以来、わずか3か月で44か店に増やした。1本150円からの焼き鳥メニューが中心で、ビール1杯199円(税別)の低価格。ドリンクを多く注文してもらうことで、売り上げを伸ばす「作戦」。女性客にも好評という。

   いずれも、「和民」や「わたみん家」からの業態転換で、売上高、客数とも前年比で5%前後減っている「和民」や「わたみん家」と比べて、「三代目 鳥メロ」は売上高で40.4%増、客数で32%増、「ミライザカ」が31.6%増、25%増で推移。客単価も「和民」よりも2倍近く高い。

   2016年11月10日の決算会見で、ワタミの清水邦晃社長は「現在の水準の売上高を維持できれば、黒字化できる」と述べ、手応えを感じているようだ。

社長「看板にはこだわらない」

   そんなワタミを、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」(WBS、2016年11月10日放送)が取り上げ、ワタミの「業績回復のワケ」を清水邦晃社長に聞いた。「低価格」が売りものの新業態、「ミライザカ」や「三代目鳥メロ」の好調の背景に、アベノミクスの失速に伴う利用者のデフレ感に加えて、看板に「ワタミ」の名前を隠して運営していることがあるように報じられた。

   たしかに、「ブラック企業」という、ネガティブなイメージがつきまとう「ワタミ」の看板よりも、その名前を隠したほうが店に入りやすいかもしれない。清水社長も、2015年11月の15年9月中間決算の記者会見で、「(「和民」などの)看板にはこだわらない」と話し、「店舗の3割は(他の店名に)転換していく」と、積極的な業態転換などで事業をテコ入れする考えを示していた。

   インターネットには、テレビを見た人からだろうか、

「オシャレ系のダイニングバーとかは見抜くの難しいけど、居酒屋系はなんとなくわかるんじゃない?居抜きとかあるし...」
「メニューとか酒とかみれば、あの系列かなって想像できる」
「知らんかった。『TGIF』ってワタミなんだ」
「隠れワタミにきをつけろ! ってこと?」

といった声がある。

   その半面、

「これってなんか悪いん? ファミレスだって、和食や寿司、中華とかって業態ごとにいっぱいあるじゃん」
「これ。どこでもやってますけど...」

と、番組での取り上げ方に違和感を覚えた人もいたようだ。

   2016年11月14日、J‐CASTニュースがワタミに取材したところ、ワタミは、

「業態転換に力を入れていることは間違いありませんが、居酒屋事業から撤退することは考えていません。この中間期の業績がよかったのも、『和民』や『わたみん家』の既存店売上高が前期比1.8%伸びたことが大きかったからです。まだまだお客様のニーズは少なくなりません」

と説明。居酒屋の看板から「ワタミ」の名前をなくしたり、「脱・居酒屋」に向かっているわけではないと否定する。

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