「必ず治るよ」「タバコ吸っていたの?」。過度の励ましや無神経な質問はやめてほしい。――肺がん患者の会「ワンステップ!」は2016年11月、患者たちにとって周囲の人々の嬉しかった励ましや、配慮してほしかった言動をまとめた冊子を作り、同会のウェブサイト上でも公開した。
友人や知人、職場の同僚らが肺がんになったら、どんな言葉をかけたらいいか迷う人も多いだろう。ほかのがん患者の気持ちを理解するうえでも参考になる。
自然体で普通の気遣いが一番うれしい
11月は世界的な肺がん啓発月間で、11月17日は国際肺がん学会が定めた「世界肺がん撲滅デー」にあたる。「ワンステップ」では期間中のイベントで配布するため、120人の患者の声を聞き、冊子にまとめた。
それによると、「嬉しかった」言葉や態度は次のとおりだ。
(1)できるだけ自然体。がんがわかると腫れ物に触るようになったり、逆にぐいぐい励まされたりする。気遣ってくれているのだろうが、普通がよい。友人は私への態度が変わらず、嬉しかった。
(2)職場の人に「おってくれるだけで大丈夫。何か安心できる」「調子のいい時、ゴルフに行こう」と言われた。
(3)同窓会の近況報告で肺がんをカミングアウトした。会場で数人がタバコを吸い始めた時、「タバコ吸うんやったら、外で吸うたれや」という声が! また、大腸がん経験者の提案で、私は万年幹事にさせられた。「お前、同窓会を毎年する為に生き抜け!」。
(4)ただ話をうんうんと聞いてくれる。
(5)会話をしても病状について聞かれない。
(6)友だちから「いつもそばにいるから」と言ってもらえた。遠く離れているけれど、毎日のラインで寄り添ってもらっている。
(7)友人が、こちらが話したくなるまで待っていてくれたこと。実は多くの人がこうではない。
(8)友人に「今まで病気のことを黙っている方が、かえってつらかったんじゃない」と言われた。
(9)がん治療で離職することを伝えると、「いつまでも待っています」。
(10)がんを受け入れることができていなかった時、ひとりだけ伝えていた友人がごく親しい仲間2人を集めて会食を設定してくれた。