大阪に万博で恩を売る作戦? 「前向き」政府が期待するコト

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「東京五輪後の景気落ち込みをカバー」の思惑も

   府の狙いは、本社機能の東京移転の進展など地盤沈下が進む関西経済の浮揚だ。大阪都構想を掲げる維新の会と松井知事は、東京一極集中らの脱却を主張しており、万博を東西の「2極化」へのきっかけと位置づけている。夢洲の開発促進へ、鉄道をつなぐなどのインフラ整備を進めるとともに、万博への観光客誘致で関西全体への波及効果も見込む。

   他方、安倍政権が前向きなのは、2020年の東京五輪後の景気落ち込みを万博誘致でカバーしたいとの判断があるとみられる。五輪会場建設やインフラ整備などの巨額投資の反動が懸念されることから、万博への新たな投資が景気を下支えすると期待している。1964年の前回東京五輪から6年後の1970年に大阪万博を開催したことが高度経済成長を後押しした、との「成功体験」の再来を狙っているというわけだ。

   政治的な思惑も指摘される。維新の会は大阪都構想に続く成長戦略として打ち出したのが万博誘致で、2015年の地方選のマニフェストにも掲げた。しかし、同年の住民投票で都構想が否決されたことから、これに代わる大きな看板として万博だけが残る形になっている。大阪府はカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致にも熱心で、松井知事は「万博とIRの相乗効果」を語る。夢洲は、カジノの候補地とも位置付けられる。

   安倍政権が誘致を後押しするのは、首相が悲願とする憲法改正を見据え、維新を引きつけておきたいとの思惑もあると指摘される。16年7月の参院選で「改憲勢力」が衆参各院で3分の2を超えたことを背景に、大阪が発祥地の維新との連携を一段と強めるため、「万博で恩を売る作戦」(護憲の野党関係者)というわけだ。

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