学校トイレ「和式は全廃しろ」 そんな議論の問題点とは

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他人の座った便座には座りたくない

   こうした学校のトイレ事情が明らかになると、ツイッターやネット掲示板には、

「トイレの洋式化進めて欲しい」
「洋便器に統一していくべき」
「和式のメリットは皆無 全部撤廃しろ」

などといった「和式廃止論」が相次いだ。そのほか、「子供に和式を使わせるってどうなんだ」「和式では出来ないって子も結構いる」との指摘も上がった。

   実際、同じ調査では1799の自治体に「トイレの整備方針」を質問している。その結果、全体の85.2%(1533自治体)が「今後は和式よりも洋式を多く設置する」と回答しており、そのうちの約半数は「洋式を90%以上にする」方針だという。

   だが、NPO法人「日本トイレ研究所」の加藤篤代表理事は、今回11日の取材に対し「洋式だから良いというわけではない」と話す。その上で、

「誰もが安心できる空間で排せつができることが最も重要です。他人の座った便座には座りたくないと考える人がいるのも当然で、彼らにとっては和式の方が『良いトイレ』になります。そういう意味でも、トイレを全て洋式に統一し、和式を排除するという考え方は問題です」

と説明する。ただ、ほとんどの家庭では洋式便器を使用していることから、「和式のトイレに戸惑ってしまう子供がいることも事実です」とも指摘する。

   そのため、加藤氏は「和式をゼロにするのは問題ですが、洋式の数を増やしていくというのは、当然の流れだと思います」とも話していた。

   実際、上述の文科省の担当者によれば、教育現場からも「全て洋式ではなく、一部は和式を残すべきだ」という意見は多いという。調査の中でも、「1か所のトイレに1基程度は和式を設置」「和式、洋式をおおむね半々に」との方針としていた自治体も、あわせて40%(720自治体)にのぼっている。

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