どの言語も中途半端な「セミリンガル」
その「混乱」の一例とも言えそうな事例がある。ネットメディア「レアリゼ」の09年11月12日付の記事「多言語状況における言語習得の問題」では、国際結婚夫婦の言語教育を複数紹介。その一つ、米国在住の日本人妻、ドイツ人夫の間の3歳の息子は、
「家では『ドイツ語』と『日本語』、幼稚園では『英語』を聞いたり使ったりしているうちに、全ての言葉について全く意味のない文節を話すようになってしまい、父親(ドイツ語)と母親(日本語)とスクールカウンセラー(英語)の3人が聞いても全く理解できない言葉の使い方をするようになってしまった」
という。
日本小児科学会専門医の小野博氏は著書『バイリンガルの科学 どうすればなれるのか?』(講談社)の中で、母語の基礎を確立されないまま複数の言語に触れさせると、どの言語も中途半端な「セミリンガル」になるおそれがある、と主張している。
ただ、関根家では先述の通り、現在のところ「家では日本語のみ」を守っている。これなら、娘が言語で混乱する心配はないだろう。