挨拶や感謝の言葉をかけ、相手を思いやろう
帰宅恐怖症自体は、新しい話ではない。1990年1月24日付の読売新聞によると、医師の関谷透氏が「ストレス漬けで疲れ切っているお父さんが、奥さんの何気ない一言をきっかけに陥る心の病理現象」を「帰宅恐怖症候群」と名付けたという。「退社時になかなか自席を離れようとしない」「仕事もないのに休日出勤する」といった具合だ。
冒頭の「ホンマでっか!?TV」では夫の側からの見方が紹介されたが、夫婦間の諸問題を扱うママ向けサイト「パピマミ」では、妻側の相談として「夫があまり家に帰ってこなくなった」という内容が取り上げられた。この中でメンタルケア心理士の桜井涼氏は、帰宅恐怖症についてこう解説している。
「身体的な暴力と違い、言葉や態度での暴力は孤独を生み出します。人間にとって一番の恐怖は孤独感です。これを感じるような場所は居心地がいいはずありません。そのため、家に帰りたくても帰れなくなってしまうのです」
買い物を手伝ってもらったのに「何でこんなものを買ったの」と怒ったり、「くさいからあっちへ行って」と夫をさげすむような言葉を投げつけりする。前出の読売新聞記事で関谷氏が、症状を放置していると蒸発、さらには自らの命を絶つところまでエスカレートする恐れもあると指摘していた。
夫婦げんかをすることもあるだろう。でも、お互いが謝って仲直りする、挨拶や感謝の言葉をかける、相手を思いやるといった「当たり前」の行為の積み重ねが、帰宅恐怖症を防ぐ何よりの薬と言えそうだ。