「スマホで静脈認証」の威力 日立の技術、従来方式とココが違う

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   日立製作所が、スマートフォンに標準搭載されているカメラで撮影した指静脈で個人を認証する技術を開発した。スマホカメラを使った認証は世界初だという。

   日立が2016年10月末、発表した。ネットバンキングやネットショッピングでの本人認証が容易になると期待されており、今後1~2年での事業化を目指す。

  • スマホカメラで個人を認証できるように(画像はイメージ)
    スマホカメラで個人を認証できるように(画像はイメージ)
  • スマホカメラで個人を認証できるように(画像はイメージ)

親指以外の4本の指をカメラで撮影

   これまでの指静脈認証は、赤外線で撮影して静脈を読み取っていた。ただ、この方法では専用装置が必要となるため、銀行のATMやパソコンなどでの利用に限定されていた。

   これに対し、スマホカメラを使った認証は、親指以外の4本の指をカメラで撮影すると、約1秒であらかじめ登録されたデータと照合して本人かどうかを認証する。撮影した指のカラー画像を利用し、皮膚表面の色情報から静脈パターンを抽出して誰かを認識する。この色情報では、皮膚の下に静脈がある部分はほかの部分より赤みが弱くて青っぽい色になり、指のしわの部分は赤みが強くなるといった特徴があるという。

   従来の赤外線を使った方法では指1本を使うのが一般的だった。スマホカメラの場合は複数の指が使えるため、精度を高められるという。これまでの実験でも約1000回の本人認証と、約1万5000回の他人認証を行ったがエラーはゼロだった。

「ネットバンキングの決済など、さまざまなサービスに」

   生体認証には指紋や顔などを使ったものがあるが、それらに比べて指静脈は生体の特徴を示すパターンが体内にあるので偽造やなりすましが難しく、情報漏洩などの危険があるパスワード入力よりも安全性が高いとされる。また、専用装置を使わずに個人のスマホを使うため認証は容易になる。

   近年、金融とITが融合したフィンテックが広がりをみせる中、スマホカメラを使った指静脈での認証の安全性と使い勝手のよさから、日立は「ネットバンキングの決済など、さまざまなサービスに活用できる」(関係者)として事業化を加速させて、販売先を世界に広げる考えだ。

   一方、現時点ではAndroid端末での開発を進めているが、事業化の際にはiOS(iPhone)にも対応できるようにする予定。今後は人種による肌の色の違い、指の汚れ、光が強い屋外などさまざまな状況下での実験を進めていくという。

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