「ハハ、ハックション!」。家のトイレに長く入っていると、くしゃみや鼻水が出ることがないだろうか。それ、アレルギー症状かもしれない。
実は、トイレの中には恐ろしいモノが潜んでいる。トイレを清潔にしているはずのトイレ掃除ブラシが細菌の巣窟となり、水滴とともに菌をトイレ中にまき散らしている。アナタは知らないうちに数億個の細菌を吸い込んでいる。
掃除ブラシの細菌は「下水並みの汚染レベル」
2005年11月5日、日本防菌防黴学会で北里環境科学センター微生物部の研究チームが、「トイレの衛生環境」をテーマに衝撃的な報告を発表した。それによると、研究チームは一般家庭で使われている収納ケース付きのトイレ掃除ブラシの衛生状態を調査した。10世帯が使用した11本のブラシと、収納ケース8個を専用の液体で洗い、細菌とカビを分離して培養した。
その結果、掃除ブラシには1本あたり72万~8億4000万個の細菌と、7万2000~330万個のカビが付着していた。収納ケースからも平均数千万個の細菌とカビが検出された。細菌の中には大腸菌も含まれ、カビの中からはアレルギーの原因になる代表的な2種類が検出された。研究チームによると、これだけの数の細菌・カビの状態は「汚い川か下水並みの汚染レベル」という。
また、トイレ掃除の後にブラシをトイレの縁などにトントンとたたき、水切りをする人が多いが、その際に水が飛び散り、菌やカビが周辺のマットやタオル、壁などに付着することもわかった。菌やカビがマットやタオルなどで増殖して体内に入ると、アレルギーを引き起こす恐れがある。水切りがトイレの周辺1メートル四方を危険な空間にしているという。
同センター微生物部の奥田舜治部長は、報告の中で、「ブラシを日光消毒して十分に乾燥させるか、使い捨てブラシを使って欲しい」と呼びかけた。