「トランプ・ショック」はいったい何だったのだろう――。共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)が勝利した米大統領選から一夜明けた2016年11月10日、東京株式市場の日経平均株価が急騰。前日比311円32銭高の1万6562円86銭の寄り付きから、すぐに上げ幅が900円を超え、前日に割り込んだ1万7000円台を回復した。
東京外国為替市場のドル円相場も、1ドル105円後半へと、大きく円安ドル高に転じた。為替相場も株価もわずか一晩で元に戻る、V字回復だ。
膨らむ「トランプ大統領」への期待感
2016年11月10日の東京株式市場は、日経平均株価が前日の「トランプ・ショック」によるクラッシュが何もなかったかのように、大幅に反発。前日に終値919円安と暴落した分を、寄り付き後に900円を超える急騰で取り戻し、10時すぎには前日比1014円36銭高の1万7265円90銭まで上昇した。その後も、1万7000円台をしっかりキープして推移している。午前の終値は、前日終値より927円33銭高い1万7178円87銭。
トヨタ自動車や日産自動車、ソニーなどの輸出関連株が大きく買われたほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友銀行などの金融株、KDDIやNTTも買われている。
一方、東京外国為替市場も円安が加速する流れに。前日午後には100円台に突入する勢いで101円台前半まで急騰したドル円相場は、大きく円安ドル高に転じ、10時すぎには105円台半ばで推移している。ドル売り円買いが進み、一時は106円台に手が届きそうな勢いだった。
こうした円安株高の背景には、米大統領選に勝ったドナルド・トランプ氏への期待感の高まりがある。それを反映したのが、米ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の大幅な上昇で、東京市場はその流れを好感したものだ。
9日(現地時間)の米株式相場は大幅な3日続伸。ダウ工業株30種平均は前日比256ドル95セント高の1万8589ドル69セントと、8月18日以来ほぼ2か月半ぶりの高値で取引を終えた。
トランプ氏の勝利で、その政策の恩恵を受けるとみられる銘柄を中心に買いが優勢となった。法人減税など企業寄りの政策への期待感に加え、金融規制の緩和の思惑や長期金利上昇による利ざや拡大観測から金融株が大きく買われたほか、経済成長促進のためのインフラ投資が増えるとの見方から機械関連株が上昇。さらにはトランプ氏が勝利宣言で経済優先の姿勢を鮮明にしたことで、自動車など主力の輸出関連株に買いが集まった。
ダウ工業株30種平均の上げ幅は9日午後に317ドルに達し、8月15日に付けた終値ベースの過去最高値(1万8637ドル)を上回った。
また、ハイテク株が中心のナスダック総合株価指数は前日比57.583ポイント高の5251.072と10月25日以来の高値で終えた。